こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
Rasical様からの提供品でのレビューです。
最も断熱力の高い素材とも言われる“エアロゲル”。
つまり防寒着を作る最適解はエアロゲルを使った中綿なのは必然でしょう。
そんなエアロゲルを使ってダウンのように着ぶくれにくい防水の防寒着。
今回はラシカルのフェアリーノヴァ2をレビューします。
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Rasical(ラシカル)
2018年頃からMakuakeを中心に、環境への影響を配慮した非ダウン中綿素材を使った防寒着などを出しています。
アウトドア用品ではなく、街中や日常使いする製品が多い印象です。
フェアリーノヴァ2は2020年にMakuakeで8000万円以上を集めたフェアリーノヴァを改良したもの。
寒い時期のタウンユースしやすい細身なシルエットながら高い防寒性能、耐風耐水性を持たせた秋~春の長い期間で活躍するジャケットです。
バージョンアップして魅力的になったのが、ぼくが最近気になってしょうがない電熱ヒーターを搭載したことです。
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結論
結局何が言いたいのか分からなくなる前に結論から。
エアロゲル中綿の断熱性能の高さと電熱ヒーターによるブーストで抜群の断熱力(保温力)が魅力。
薄着の上に着るだけで秋冬春を暖かく過ごせるアウターウェアです。
ただストレッチ性の無いので、本格的なアウトドアアクティビティには適しません。
やや細身な作りでぼくの体系的に合わず、胴回りはちょうど良くても肩肘背中が突っ張り動きにくいと感じました。
期待の電熱ヒーターも発熱箇所が少なくやや力不足感がありました。
中綿の性能は非常に良いので防寒性能は文句なしに高いですが、アウターウェアとしての作りの甘さが感じられる箇所がいくつかありました。
肌寒い~極寒の秋冬春用の通勤通学や旅行、観光といったシーンで活躍する防寒着です。
この内容を説明しながらレビューしていきます。
補足を書いておくと、夏も冬も山に登るため普段からハイエンドな高機能ウェアに着ています。
軽さ、暖かさ、強度、雨風雪に対する対候性、動きやすさ、細部パーツの使いやすさ的にはおそらく登山をしない非登山者が驚く程度に高性能なウェアを普段から着ています。
それと比較して、となるため評価基準がそれなりに高めでかなり厳しい目線で見てる自覚はあります。その点ご理解下さいませ。
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スペック
フェアリーノヴァ2 | |
表生地 | ポリエステル100% |
中綿 | ヒートエーテル |
裏地 | ポリエステル100% |
重量 | 555g(Men’s S) |
耐水圧 | 10,000mm以上(検査値55,318mm) |
透湿性 | 10,000g/㎡/24h(検査値39,192g/㎡) |
パッケージ | トウモロコシ由来のエコ素材 |
電熱 | |
出力 |
USB-A出力(5000mAh以上・5V/2A推奨)
|
温度 | 38℃(白/約16時間10,000mAh) 43℃(緑) 48℃(青) 53℃(赤/約7時間10,000mAh) |
安全対策 | 3時間で自動停止 |
表裏ポリエステル生地。
強度や軽さはナイロンに劣りますが、熱に強く、保水率が低く乾きやすく、紫外線に強い素材です。
555gが軽いか重いかは悩ましい所。ダウンならもっと暖かく軽くなりますが、防水性を合わせて考えると軽いウェアではあります。
中綿にはエアロゲルを使ったラシカル独自素材ヒートエーテル。
耐水圧透湿性は10,000mmとなってますが検査値ははるかに上。その表記でも良さそうですがどうなんでしょうね。
電熱ヒーターは4段階で、10,000mAhで7~16時間程度使えます。
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見た目
首元のしっかりした真っ黒のジャケットです。
生地はポリで柔らかめ。
左右ハンドポケットと、左胸、内側右胸にポケットがあります。
電熱ヒーター用のモバイルバッテリーを入れるポケットも含めれば5つ。
ハンドポケットの中はフリース生地で手を温めやすい仕様。
内側のポケットは鍵や財布を入れるのに良さそう。
メインもポケットも全てYKKの止水ファスナーを採用。強力な撥水で雨をはじいてくれます。
裾はお尻側が少し長くなっているのでしゃがんでも背中が出にくく暖かい。
見た目的にも着丈が長くて好きです。
薄い中綿を使っているためダウンのように着ぶくれしにくく「この薄さでちゃんと防寒できるの?」と思うほど。
襟が高く首元まで保温してくれます。
フードが収納されて厚みがあるのがさらに保温力を上げてくれてるのを感じます。
首元は広くなっていて苦しさやあごがファスナーに当たることもありませんでした。
チン(あご)ガードも付いています。
首の裏側はポケット内と同じフリース生地で地肌に触れても優しくなってます。
特徴
特徴を見ていきます。
シート状のエアロゲル中綿【ヒートエーテル】
エアロゲルを使ったラシカルの独自素材「ヒートエーテル」
以前レビューしたフェアリーノヴァ掛け布団にも使われていましたが、同じ名前の中綿なだけで種類は違います。
掛け布団では綿状になっていましたが、ジャケットでは薄いシート状になっています。
ポリエステル系の素材にエアロゲル成分を何かしらの加工をして入れてるようですが詳細は不明でした。
上は公式画像ですが、これでは断熱性も透湿性も低そうですがどうなんでしょうね。
実際使ってみて断熱力の圧倒的な高さは実感してるので裂いて中身を見てみたい衝動もあります。
着ぶくれしにくい1mm厚
薄いシート状の中綿(綿とも言えませんが)を使うことでダウンのように着ぶくれするしないのが売りです。
シルエット感の意識するタウンユースでは、冬の着ぶくれを気にする人も多いでしょう。
そんな人には化繊中綿ジャケットがおすすめですし、さらにフェアリーノヴァ2ならわずか1mm厚です。
が、実際にはそれなりに膨れて見えるよなと思ってます。
もちろん冬用ダウンジャケットや厚手化繊ジャケットよりは薄いですが。
USB給電の電熱ヒーター内蔵
背中のみ銀色になっていて、腰と背中に一部に電熱線が入っています。
銀面の熱反射と合わさって電熱ヒーターをブーストさせるのでしょう。
左内側に本体から出たUSB-Aケーブルと、モバイルバッテリーポケット、やや上部に温度調整ボタンが付いています。
ボタンはファスナーを閉めた上からでも押すことができますが、今どの状態かは確認できません。
Ankerの10,000mAhバッテリーで上が少し出る程度。
もう少し大きなものも入りますが、ジャケットが重くなるので考え物です。
4段階ある電熱ヒーターですが使ってるのは最大の赤(53度)のみ。
確実に暖かくなってはいますが、電熱線の本数が少ないのとアウターになるため体感では暖かさをあまり感じられず。
個人的にエアロゲル断熱中綿よりも期待してた電熱ヒーター。
というのも最近は電熱ウェアやギアに興味津々です。
腰後と背中後ろの2箇所で比較的少なめ、確実に暖かくなりますが冬の屋外活動を快適にするほどのパワーは無く、正直オマケ程度だなという感想でした。
大雨にも耐える防水透湿性
驚くことに防水性と透湿性を備えています。
耐水圧は10,000mm以上(検査値55,318mm)。
透湿性は10,000g/㎡/24h(検査値39,192g/㎡)と検査値的には非常に高性能。
ただ時期的に雨の降らない北海道なので着て試すことはできず。
フェアリーノヴァ2 | ||
耐水圧 | 10,000mm以上 (検査値55,318mm) |
50,000mm以上 |
透湿性 | 10,000g/㎡/24h (検査値39,192g/㎡) |
35,000g/㎡/24h |
検査値で見ると、レインウェアの定番モンベル ストームクルーザー(ゴアテックス3レイヤー)よりも高いです。
登山脳的には防水透湿素材は防水透湿メンブレンを使った2~3レイヤー素材です。
フェアリーノヴァ2は中綿もあるため肌側から「裏地・中綿・メンブレン・表地」の4層構造になっているだろうという話。
もしそれでこの薄さ、保温力ならすげえなと思っちゃいます。
ただ防水透湿性が検査値ではなく10,000mmにしてるのは気がかりなところ。
さらにあくまで表地の性能であり、中綿の透湿性が低ければ蒸れやすくなるはず。事実透湿性の高さは体感できませんでした。
それでも運動量の低いタウンユースであれば、蒸れが保温力となるため防寒着としてはむしろ良いはず。
手を温めるインナーカフ
袖の内側に親指を通すサムホールの付いたインナーカフが付いています。
インナーウェアのようなストレッチ素材で肌触りが良いです。
手のひらの保温力をブーストしてくれるもので寒い日にあると嬉しい工夫です。
サムホール好きなこともあって好きな部分でした。
収納できるフード
膨らんでいた首元には目立たないコンシールファスナーでフードが収納されています。
中綿は入っていないため保温力はありませんが、おそらく本体生地を同じなので防水性があり水を通しません。
柔らかめで小さめな非常用フードで、雨雪風など悪天候時に出して使うものです。
顔元を絞ることも出来るため自転車に乗る時などに便利です。
上2枚が絞って無い状態、下2枚が絞った状態です。
実用
実際に冬の北海道のいろんなシーンで使ってきました。
キャンプ
極寒の冬キャンプとは相性が良いです。
買い出しから車の運転、テント設営、キャンプ中の防寒着にもなって1枚あるだけで快適になります。
ぼくの場合、-10度位ならダウンは必要無いと感じました
さらに寒い時には上にダウンを着て、電熱ヒーターをオンにすることもできます。
気になったのは硬い止水ファスナーで、ダブルファスナーではないため座ってる時にお腹の前が膨らんで邪魔なこと。
雪遊び
スキーウェア以上の高い防水性で雪遊びも問題無し。
袖はインナーカフとベルクロで絞れるのが便利です。
ただ裾は絞りにくく絞り忘れると雪が入り込んでしまいます。
スキーで使うことが出来なくもないです。
が、動きにくい、丈が短い、スプレースカートが無い、生地の強度が心配、色の視認性の低さ(黒or紺)など、どうしようもないなら使える程度で、専用品には遠く及びません。
雪遊びなら公園遊び程度です。
ワカサギ釣り
2022年からハマっている氷上のワカサギ釣り。
一度座ったらトイレ以外では立つことのない静的な釣りです。
抜群の防寒性能は最大の魅力ですし、着ぶくれしないので作業がしやすく餌の付け替え、荷物の出し入れなど快適です。
気になるところ
改善を期待したい気になる点。
着心地の悪さ
着てすぐにキツめだなと思いました。
身長161cmのぼくはメンズMを選んでます。
前作からバージョンアップした2になって突っ張りが軽減したと言っていましたが、肩肘背中が突っ張ります。
アンダーウェアの上に着ると動かなければキツさはほとんどありませんが、フリースの上に着れば動かなくてもキツさを感じます。
アンダー+フリース+化繊アクティブインサレーションの上には着れないほどです。
公式レビューにも「サイズ小さめ」と書いてる方がいましたが、形状的な問題だと思ってます。
大きくすれば解消されますが膨らみますし、サイズが合わなくなるため本末転倒です。
細身な人に合いやすい形で、肩幅の広い人ような人には合いにくいのでしょう。
結果的に肩が高く上がりませんし、腕は写真の姿勢以上に閉じれません。
大きな動きをするにも突っ張って不便という着心地。
特に背中側が突っ張りやすく、肩肘の動きにくさも背中が突っ張った結果かと思います。
生地に張りはありますが硬さはゲレンデ用ポリ系スキーウェア程度。
ただ伸縮性が一切ないので可動域が想像以上に狭い印象です。
アウトドアブランドのハードシェルは伸縮性が低くても立体裁断で動きに制限がありません。
それと比較して伸縮性ではなく、動くことを想定してない形状的な限界なのかなと思ってます。
冒頭で服としての作り込みが甘いと書いた理由です。
ただぼくは体系的に少し合ってないですが体型次第だと思います。友人は着てストレスは感じないと言っていました。
止水ファスナーの滑りの悪さ
雨の降らない冬に使ってることもありますが、止水ファスナーは要らなかったなと思ってます。
止水ファスナーといえば、樹脂ファスナーに撥水テープを付けた雨を弾いてくれるファスナーです。あくまで弾くであり、浸水への抵抗力は皆無です。
撥水テープをスライダーで一緒に挟み込むため上げ下げが硬く重くなりやすいのが大きな欠点です。
アウトドア脳で考えるとレインウェアには必須ですが、冬用ウェアでは必要性は薄いです。傘を使えるタウンウェアでは無くても良くて、傘を使えない自転車などではあってもいいかな程度です。
冬に雨が降らず、1人1台車を所有する北海道民的には、レインウェア以外では使わないで欲しいファスナーだったりします。
ただフェアリーノヴァ2の用途は着用時期が広く春冬秋のアウターでタウンユースなことを考えてます。そのため止水ファスナーを採用した理由は理解できます。
がそれで器用貧乏になってるなという感想。多少の雨へ弱くしても止水ファスナーは使うべきではない気がしてます。
じゃあ何を使うのさっていうとビスロンファスナーです。
エレメント(ファスナーの爪一つ一つ)が大きく噛みにくく滑りが良いのが利点。
ダウンウェアや冬用シェルといった冬期のアウターに使われることの多いファスナーです。
ただ雨に弱くなるためフェアリーノヴァに導入されてることはないだろうなと思うのも事実。
服のサイジングとファスナーを変えるだけで化ける服のように思います。が逆にその二つがアップデートして欲しいポイントです。
ダブルファスナーでも良かった
車の運転やキャンプやワカサギ釣りのように座って着るときに硬い止水ファスナーが煩わしくかんじました。
これを下から開けるダブルファスナーにすれば一気に解決する部分だと思います。
公式動画で「ダブルファスナーにして欲しい要望があったが、トラブルが起きやすいことから見送った」とのこと。
これも止水シングルよりもビスロンダブルのほうが破損率は高いのかもしれませんが、スムーズさは上がりそう。悩ましいですね。
裾の絞りの残念さ
裾を絞ろうと引っ張ったらびっくり、絞れてませんでした。
今どきワークマンでもコードロックパーツが本体に縫い付けられるなど、片手で絞ることができる工夫がされてます。
フェアリーノヴァ2は両手を使って、片手でコードロックを抑え、片手でドローコードを引くという手順が必要です。作り込みの甘さを感じてしまいました。
確実に蒸れる
「保温力の高さ=蒸れやすさ」です。
魔法の言葉「透湿性」でもそれは簡単に覆りません。
登山をする人なら当たり前な話ですが、防寒着なフェアリーノヴァ2を着て山を登れば普通に蒸れました。即脱ぐよね。というレベルでした。
ただアウターシェル的には「透湿性の低さ=蒸れやすい=暖かくなりやすい」でもあり、防寒着と見たフェアリーノヴァ2的には高い透湿性よりも抜けの少ない暖かさの方が重宝します。
蒸れるのは欠点と同時に暖かさの維持しやすさでありメリットだと感じてます。
電熱ヒーターの量が少ない
上でも書きましたが、腰と背中の2箇所しか電熱ヒーターが入っていないので期待したほどの暖かさを感じられませんでした。
確実に発熱してるのも感じられますが、-10℃以下にもなる真冬のキャンプで使うにはやや力不足かなと。ただブースト的には十分だと思います。
フェアリーノヴァ2が向いてる人
1枚あればあらゆるシーンにそれなりに対応してくれる万能なフェアリーノヴァ2。
・秋~春の通勤通学用
・外歩きの多い旅行用
・着ぶくれにくい化繊防寒着を探してる人
・細身な体系の人
通勤通学旅行用がメインの用途で探してる人におすすめできるウェアです。
化繊はダウンに比べオーバーヒートしにくく、肌寒い程度の気温でも着ることができ長い時期を1枚で対応できます。
断熱性と防水性を両立してるのが魅力的で、北海道なら肌寒い晩夏の夜から初春までと真夏以外で活躍してくれそうです。
注意点は、体格のしっかりした人が着るのは肩回りが厳しいはずなのでご注意を。
一方で、ストレッチ性が低く腕の動きが大きなアクティビティには不向き。
防水ウェア、防寒ウェア、化繊ダウンウェアなど細分化して機能を持たせたウェアを複数持ってるアウトドアマンには正直いつ使っていいのか分からないウェアだったりします。
そう考えるほどにタウンユースな街着だなという感想を持ちました。
中綿や防水生地はアウトドアウェアから見ても非常に高性能ながら、細部の作りやアクティビティに対応した動きやすさには仕上がっていない高機能街着、そんなフェアリーノヴァ2でした。
レンタル
10日間3300円でレンタルができます。
レンタル→購入で、レンタル金額が差し引かれるのも嬉しい所。
一部で試着できるようですが、地方住みにはどうにもならないので助かるレンタルサービスです。
特にサイズ感が人を選ぶと思うので、積極的にレンタルを利用すると安心でしょう。
手持ちのウェアと合わせて試せるのもレンタルの良い所です。
クーポン
5万円以上の購入時に使える3000円オフのクーポンです。
まとめ
改めて中綿の性能の高さに驚いています。フリースやより暖かい大きなアウターウェアとして使ってもいいでしょう。
ダウンに比べ暖かいよりも、体温ベースな寒くないと感じる化繊中綿ウェア。
アウトドア的には濡れに強いのが魅力ですが、街着的には着ぶくれしないのが魅力です。
あまり意識したことのない”街着”という服を考えたのと同時に、アウトドアウェアの高性能さを再認識しました。
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