こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
シングルバーナーを使う時の燃料となるCB缶とOD缶。
より寒冷地向きで、山用途に向くのがOD缶(アウトドア缶)です。
プリムスからは充填されるガスの差で3種類のガス缶がラインナップされています。キャンプ用、山用、冬山用といった具合です。
さらにメーカー間で配合比率は異なり、値段も変わってきます。
今回はOD缶の基礎知識から充填ガスの差、各社の比較、OD缶の小話までしていきます。
OD缶とは
OD缶はアウトドア(OutDoor)缶を意味しています。
アウトドア、特に山で使うことを想定したパッキングしやすい形状、CB缶よりも強度の高い素材なのが特徴です。
OD缶以外にもガスカートリッジやボンベ、ガス缶と呼ばれることが多いです。
CB(カセットボンベ)缶との違い
良くあるCB缶とOD缶の違いという話。
これは本題ではないのでサクッと表で見ていきます。
OD(アウトドア)缶
|
CB(カセットボンベ)缶
|
|
値段 | 高価(250缶500円ほど) | 安価(250缶100~150円) |
寒い場所での使用 | 頑丈な缶なため 高圧なガスを充てん可能 そのため寒冷地向きを作れる |
OD缶に比べ、
高圧なガスを充てんする
想定ではないため
寒冷地には向かないボンベが多い |
サイズ | 大中小で用途に
合わせて選べる |
基本的に250缶サイズ
|
入手性 | アウトドアショップ、
ホームセンター、 登山口近くの店で入手可能 |
コンビニ、100均、ドラッグストア、
スーパーでも手に入る
互換性もあり、入手しやすい |
CB缶とOD缶を比べると値段、入手性、サイズの種類、寒冷地での使用、パッキング性で比べられることが多いです。
キャンプ使用ならテーブルサイズやコスパなどの好みでCB、OD缶を使い分けるのが良いでしょう。
山で使う場合は、高所(2000~3000m)や冬季に使うことを想定するほどにOD缶の必要性があがります。日帰りや1泊程度の山行なら小さい110缶を選べるのもOD缶のメリットです。
OD缶とCB缶バーナーの選び方はどちらが良いではなく、OD缶が必要な人はOD缶を選ぶ、OD缶の必要性がない人はOD缶かCB缶か悩める、という認識をしておくとわかりやすいです。
登山でテント泊しようとする人がCB缶で悩むことはほぼありません。必要だからできて、使われるのがOD缶。
そのためCB缶でもいい人はCB缶のほうがメリット(コスパ、互換性、入手性など)は多くなります。共に好みがあり選べる人は好きなほうをどうぞ、となります。
サイズ
各社表記の違いはありますが、OD缶には内容量の違いで110缶、250缶、500缶の3サイズがあります。
メーカーでの表記の違いでそれぞれ105、230、470という書かれ方をすることもあります。微妙に内容量などが違う場合もありますが、おおよそ誤差程度です。
小さいガス缶ほどに軽く、大きいガス缶ほど内容量対値段のコスパが良くなりますが重くなります。
110(105)缶 | 250(230)缶 | 500(470)缶 | |
サイズ | 約Φ90×65mm | 約Φ110×90mm | 約Φ110×150mm |
重量 | 約180~190g | 約360~380g | 約670~680g |
内容量(ガス) | 100~105g | 220~230g | 460~470g |
プリムスパワー | 約380円 | 約600円 | 約900円 |
内容ガス1g辺り | 約3.4円 | 約2.6円 | 約1.9円 |
メーカーごとに重量、内容量に微妙なばらつきがありますが大体の目安です。
値段は寒冷地向きのガスほど高価になっていく傾向があります。
サイズと金額で比べても、110と250で内容量が半分といっても値段は半分とはならないわけです。
プリムスのパワーガスの内容ガス1円辺りの金額(ガス缶の値段/内容量(ガス)も記載しています。
250缶を基準に考えると110缶は約130%の値段、500缶は約70%の値段となります。そのためサイズを許容できるなら500缶がコスパは一番良くなります。
全ての種類で3サイズがあるわけではなく、最も一般的なのが250缶、山用で使うことを想定すると110缶があり、キャンプ用では500缶がラインナップされているという感じです。
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OD缶と充填ガス
CB缶はノルマルブタン(ブタン)が主成分です。
OD缶は缶の強度が強いため高圧なイソブタンとプロパンを多く充填することが可能になっています。
ガスの違い
ノルマルブタン | イソブタン | プロパン | |
沸点 | -0.5℃ | -11.7℃ | -42.09℃ |
OD缶に充填されるガスは3種類、ノルマルブタン(ブタン)・イソブタン・プロパンです。
この3つのガスを各社好みの比率に配合し、OD缶に充填しています。
沸点が低いガスほど気化させやすく、低温化でも出力することができるようになり、寒冷地向きのOD缶という立ち位置になります。
寒冷地向きで理想を考えるならプロパン100%の配合ですが、OD缶では耐えられないor危険なためできません。
現状最も寒冷地向きなOD缶でイソブタン60%・プロパン40%の配合です。
逆にコストを下げ、安いOD缶となるとブタン比率を増やしていくことになり、温暖な気候向きなOD缶に仕上がります。
ガスの沸点温度は全てマイナスですが、その気温で安定して使えるわけではないので間違えないように。ほぼブタンのガス缶で10~15℃が目安のようです。
各社OD缶と特徴
市場に出回っているOD缶を調べてみました。おそらくほぼ全て。
ピックアップしたのはメインとなる250(230,227)缶です。110や500缶にサイズが変わっても充填比率は変わりません。唯一EPIのみ190缶も出しました。
ジェットボイルやスノーピークなどの缶ロゴのマイナーチェンジ、MSRやファイアメイプルは今年からの登場です。
ノルマルブタン(ブタン)・イソブタン・プロパンの配合比率は公表している会社はそれを、していないとこは非公表で記載。
配合比率非公表なのはスノーピーク、コールマン、ジェットボイルの3社です。(コールマンは問い合わせると教えてもらえるよう、スノピ、ジェットボイルは問い合わせても非公表)
ジェットボイルに限れば充填元の会社がMSRと同じ韓国の会社なので、もしかするとMSRイソプロ同様の20%80%かもしれません。
充填元は東邦金属工業株式会社という所で行われているメーカーが多いようです。が、=互換性があるというわけではないので間違えないように。
東邦金属工業もカセットボンベやカセットコンロを製造販売しています。
見覚えがあるなーと思ったら、100均で手に入るCB缶が東邦金属工業のモノでした。
OD缶の種類
各社OD缶のラインナップとしては1~3種類の展開。
3種のプリムスとEPIでは、ブタンベースのノーマル、ブタンベースにプロパン入りで寒冷地用、イソブタンベースにプロパン入りの極寒冷地用の3種です。
2種のスノーピーク、キャプテンスタッグ、コールマンはブタンベースとイソブタンベースで夏用と冬用の2種。
1種類のメーカーでMSR、ジェットボイルはイソブタンベースにプロパン入りの寒冷地用のみ。
SOTO、ファイアメイプルは3種のガス全て配合でこれも寒冷地用に仕上げています。
おそらく各社出しているシングルバーナーにも左右されているのでしょう。
バーナーの種類が多い→OD缶の種類も多い→プリムス、EPI、のように。
特徴には缶に面白い絵が描いてある缶と気化しやすい工夫をされたOD缶をピックアップ。
ジェットボイルの缶には残りの沸騰できる回数が記載されています。250缶で500mlを55回ってすごすぎ。
MSRのイソプロには、水に浮かして残量を測る絵が書いてあります。製品名のISOPRO227という数値なのも特殊。ちなみにガス量は226gです。え。イソプロはイソブタン+プロパンの意かと。
プリムスのTガス(パワー)、EPIのパワーガス、SOTOのトリプルミックスはガスカートリッジはガスカートリッジ内部に気化しやすい工夫がされており、ガス残量が減っても最後まで燃料を出し切りやすい作りになっています。
そして、プリムスウルトラやEPIエクスペディションは元々気化しやすいガスを充填しているため、その工夫が必要ないため省かれているようです。
それぞれ参照ソース。SOTOは見つけられませんでした。
・EPIのカタログPDFページで13ページに写真と説明有(PDF注意)
・プリムスの商品ページ下部の“プリムスTガスの優れた特長”に記載有
各社OD缶のガス混合比率のグラフ
次いで配合比率でグラフにしました。上ほど寒冷地に向き、下ほど夏用の並びです。
特にプロパン比率を重視して、上から並べてます。
%で書いてますが、誤差5~10%が存在するようです。そのため“約〇%”と認識してください。また、0%表記ももしかすると違って、微量の封入はあるかもしれません。
ガス配合比率が非公表の3社。しかし、ガス缶に充填ガス名は書いてあるため、ジェットボイルならイソブタン+プロパンでブタンは使っていないことがわかります。そこから非公表のガス缶は%は適当ながら配合ガスを合わせて表にのせています。
一般的に冬用はプロパン+イソブタンの配合になっていき、プロパン比率が多いほどさらに極寒冷地向きなOD缶となります。
少しややこしいのがファイアメイプルとSOTOで、この2社のみ3種すべてのガスを配合しています。
例えば、ファイアメイプルの49/21/30%とプリムスウルトラ0/75/25%のどちらが寒冷地で便利なのか、それがわかりません。
ガス缶で多少の差で性能差はあまりでませんが、3種配合は少し特殊枠と言えるでしょう。
冬に使うならプロパン入り
冬に使うことを考えればプロパン入りがベストです。
そして、できればブタンではなく、イソブタンを使ったモノが理想的でしょう。
その考えで分けるとキャプテンスタッグやノーマル、レギュラーの名前なガスは省かれます。
あとは使っているバーナーと合わせたメーカーの冬用OD缶で問題ないかなと思ってしまいます。
現状最強はEPIgasの190エクスペディションですが、110でも250でもない中間の190gサイズで外形、内容量共に使いまわしが悪いのが難点。底が大きく凹んだ形で圧がかかっているのがわかる見た目です。ただ厳冬期使用なら最も信頼性が高いと思われるガス缶でもあります。
コールマン、キャプテンスタッグは冬山で使えるようなOD缶シングルバーナーが存在していないこともあって論外。キャプテンスタッグはホームセンターがでOD缶の入手性はいいですが、パワーガスはあまり売られていないためさらに論外でキャンプ用途向きです。
ただという話をすると、普段冬にはジェットボイルやプリムスウルトラを使ってますが、北海道の厳冬期でマイナス20℃程度の環境で剥き出しで使えばどんなOD缶でも火力は落ちます。
元も子もありませんが、微妙なガス缶の差よりも冷えない使いまわしのほうがはるかに大事なことも覚えておきたいポイントです。
寒いときはプロパン>イソブタン>ブタンの順で燃焼される
意外と知らない人が多く、目に見えないため気付きにくいことですが、寒冷地で混合されたガス缶を使った時には気化しやすいプロパン>イソブタン>ブタンの順に消費されるという特徴があります。
図で説明していきます。
プロパン30%、ブタン70%のOD缶があったとします。図心がないんですが、OD缶です。
OD缶の内部の口元には短い筒があり、そこから気化したガスを取り出す構造になっています。
このOD缶を気化しにくい、マイナス10℃位の環境化で使ったとします。
すると気化しやすいプロパンが先に消費され、前半は調子良く燃焼しますが、プロパンを使いきると気化しにくいブタンが残り、燃焼しにくくなる現象が起こります。
極端な図ですが、実際このような感じになるようです。これは冬に使っていると体感でもわかります。
そのためできればブタンではなく、イソブタンを使ったガスが良い。
さらに、万遍なく気化させるようにガス缶を冷やさないように運用するのがベストだと言えます。
OD缶の小話
OD缶の知ると役立つあんな話から、知ってても役に立たないこんな話をしていきます。
ドロップダウン
ガスを消費して燃焼するときに液体→気体に変化するために熱が必要となり、そのとき周囲から熱を吸収して、ガス缶が冷えるのが気化熱(蒸発熱)です。
ガスバーナーを長時間燃焼すると外気に関係なく、ガス缶が結露したり、冷えてくるのはこの気化熱による影響でドロップダウンと呼ばれます。
レギュレーターが付いたバーナーではドロップダウンを軽減することができます。
SOTOではマイクロレギュレーター、ジェットボイルではサーモレギュレーターなどと呼ばれるのがレギュレーターです。
ドロップダウン対策
他にもドロップダウンは物理的に対策・解消することができます。
定番は両手でガスバーナーを包み込み保温する方法。
冬でもすぐに火力が上がりますが、両手がふさがり、手が冷え、長時間は持続しない欠点があります。
プロテクター兼ガス缶カバーも即効性はありませんが、若干の対策として活用できます。
キャプテンスタッグやEPIから出ているアタッチメントは、バーナーの火を伝導させ、ガス缶を温めるという力業を実現してくれます。
火を付けてる間は火力が落ちにくく最も現実的で、実用性の高い道具です。
ややかさばり、バーナーとの相性も大きいのが欠点。
オススメではありませんが、割とやる人が多いのがガス缶をお湯につけるです。
急激に温度が上がり、火柱が上がることもあるので注意が必要ですが、割と実用的。
即効性で言えば、ガスカートリッジを替えるのもアリです。
冬でも服の中や寝袋の中に使ってないガスカートリッジを入れて保温して置き、ドロップダウンしてきたら付け替えて使うという方法です。中途半端なガス缶が残ってしまいやすいのが欠点ですが、使用頻度が高い人ならオススメです。
OD缶の使い分け
プリムスやEPIgasは3種類のガスを販売しています。では、どう使い分けるのか?です。
まず大前提として。
・長時間燃焼してドロップダウンすると気温に関係なく火力が落ちる
・標高が上がると気温が下がり、気圧も下がるため火力が下がりやすい
・厳冬期に冷えたガス缶だとどんなOD缶でも火力が上がらない
・先にプロパンを消費してイソブタンorブタンが残ると同じ環境でも燃焼しにくくなる
ということは覚えておく必要があります。
ぼくの独断での振り分け。
それを踏まえて、EPIやファイアメイプル、キャプテンスタッグのメーカー記載の使用温度から想定するとこんな感じに分けられると思います。
選定理由を説明していきます。
3シーズン用:ブタンベースで少量のイソブタンかプロパン入りのガス缶。内容物的にはCB缶に近い立ち位置。EPIレギュラー、キャプテンスタッグレギュラー共に約10℃の表記あり。夏でも標高の高い山だと火力が上がらないこともあるモデル。夏山~キャンプ用。
冬対応:ブタン+プロパン入りとイソブタンメインのガス缶。キャプテンスタッグパワーガスに‐5℃、EPIパワーガスは‐15℃の表記あり。冷え対策をすれば厳冬期でも十分使用可能。プリムスTガス目安で考えると夏の平地キャンプ~冬山まで通年使えるOD缶のスタンダードモデル。夏の平地キャンプのみなら3シーズン用でもいいが、山で使うことも考えるとこのタイプが安心。冬の火力低下は早い印象。
厳冬期対応:イソブタン+プロパンと3種混合ガス缶。ブタンを使わないモノが多いため、冬対応よりさらに強い。冬山、冬の北海道~東北のキャンプなら安心。ファイアメイプルは‐15℃対応の記載。EPIエクスペが‐20℃対応の表記、EPIエクスペ、プリムスのウルトラは冬季用ガス缶で夏は避けるようにと注意書きもあり。ジェットボイル、MSRイソプロは他に選択肢がないので通年一択ですが、一体型なこともあり、OD缶とバーナーの相性もあるのかと思われます。そして厳冬を想定。
3シーズン用は冬に向かないモデルです。が使えないわけではありません。あくまで不向き。
しかし、厳冬期用でプロパン比率の多いEPIエクスペやプリムスウルトラは気温の高い時期の使用は厳禁(プリムスは20度以上での使用を避けるようにと記載)です。夏の使用が危険なため店頭に置かない処置を取っている店が多いのは危険だからです。
また、冬用に購入した厳冬期用が余っていても夏に使わないように気を付けましょう。
それ以外の冬対応、厳冬期対応は〇用という表記は正しくないように思い、対応という言葉を使いました。ただしEPIエクスペ、プリムスのウルトラは冬用(厳冬用)です。
OD缶は基本的に通年対応し、日本国外の極地登山でも使うことのできるモノです。
バーナーの種類が多いEPIやプリムスは客層に合わせて3種類をラインナップしていて、キャプテンスタッグやコールマンは基本がキャンプ向けで予算を抑えたブタンベースOD缶に、山でも使えるようにとパワータイプのラインナップ。
SOTO、MSR、ジェットボイルなどは基本的に山想定で、通年1種類のOD缶で対応という考えなのではと思います。
OD缶は3シーズンか冬用で考え、バーナーとOD缶のメーカーを合わせれば国内で困ることはまずないという考えです。
残量の調べ方
使い勝手が良く、高火力で軽量なガスバーナー。アルコールバーナーと比べた時に欠点になるのが燃料の量を自分で調整できないことです。
110/250/500缶の3択で、中途半端になると燃料計算が非常に難しくなり、余分に缶を持つことになって重くかさばってしまいます。
でも使いかけのガス缶もどのくらい残っているかわかったら便利だよね、どうやったら調べれるかな、という話。
重さを測る方法
確実なのは重量を測る方法。
例えば、プリムスの250缶なら約375gでガス重量が225gです。すると缶の重さが150gとなります。
手持ちの缶の重量を測り、300gだったとすれば-150gをして残量が150gであることがわかります。
残量150g/総量225g=66%の残量があるという計算ができます。
375(新品重量)-300(今の重量)=75g(使ったガス量)という計算もできますが、ややわかりにくいです。
個人的にガス残量は%が認識しやすいです。
良く使うOD缶の新品でキャップ無し重量を覚えておき、ガス重量や缶自体の重さを知っておけば簡単に計算することができます。
「OD缶 残量 計算」などで調べれば缶の新品重量やガス量を調べることもできます。
振った音を聞く方法
測るのが確実なのは知ってるんです。
でも、いちいちガス缶測るのも手間なわけです。
ではどうするか?中途半端なガス缶を耳元で振るんですね。
「シャカシャカ」と音が鳴り、その音で残量を判断する技があるわけです。
精度はあまり高くないですが、ぼくの場合は3段階で判断しています。
・満タン~ほぼ減ってない(100~80%位)
・半分程度(65~35%位)
・残り僅か(20%以下位)
の3つです。
感覚的にもっと細かくわかりますが、おおよそで認識する程度です。
今回のアウトドア用途で行けるか、行けないか、それがわかれば十分なのです。
水に浮かべる方法
今年発売したMSRのガス缶に記載されていることから知った残量測定方法。
水に浮かべて判断する方法ですね。
MSRの絵では3段階
・めちゃ沈む(満タン近い)
・半分くらい沈む(半分位)
・かなり浮く(ほぼ空)
のようです。
種類は違いますが同じ250缶で沈めてみました。比べると一目瞭然です。
垂直に沈めようとすると底のへこみに空気が入り、傾いてしまうのに注意。
耳元で振るよりは精度高そうですが、都合よく沈める水がないとどうにもならない方法です。
でもアウトドアっぽくてすごい面白い方法だなぁと思ってるとの、その絵をガス缶に書くところがアメリカっぽくてすごい好きです。
ガス缶の製造日
あまり見ない場所なので知らない人も多いかもしれませんが、ガス缶の底に西暦で製造年月日が記載されています。
20190711なら、2019年7月11日に作られたよという意味になります。
使用期限とセットで覚えておきたいことです。
ジェットボイルはさらに時間も記載があります。08:00といった表記です。
使用期限
OD缶は製造年月日から2~3年以内に使うことが推奨されています。
充填されたガスの成分が変化することはありませんが、缶のバルブや金属、樹脂素材が劣化することで点火時にトラブルに繋がる可能性があるからです。
状態の良い環境で保存した場合でも、最長で7年以内には使用するのが望ましいです。
非常用でストックしているする場合には数年ごとに新しく製造されたものに変えていくようにするのがいいでしょう。
また、親や親戚から譲り受けた古いガス缶というパターンもあるあるですが、7年以上たっているモノや底の製造年月日が見えないほど古い場合は使用せずにガスを抜いて処理することをオススメします。
缶の処理の仕方
意外に困るのがガス缶の処理方法。
2003年頃までは火気の無い所で穴をあけて中身を出し切ってから処理することが推奨されてましたが、残留ガスでの爆発や穴でのケガに繋がることが多々ありました。
2018年の札幌のボンベ爆発事故も衝撃的でした。100本以上のCB缶に穴をあけて処分していたときに換気不足で、湯沸かし器を付けた時に爆発が起こった事故です。→Wikipedia:年札幌不動産仲介店舗ガス爆発事故
現在は環境省が穴をあけずに処分することを推奨しています。
捨て方
回収方法は、地域によって異なります。
ぼくの地域では「燃えるごみの日に、ガスを使いきり、穴をあけず、半透明の袋に入れて」捨てることができます。
「地域名 ガス缶 捨て方」で検索すると市区町村のカセットボンベやスプレー缶の処理方法が出てくるはずなので、それに従いましょう。
ガスを使いきる
捨てる時の注意点としてガスを使いきる必要があります。
昔は穴をあけることで使いきることができましたが、現在は穴をあけないことが推奨されています。
OD缶で最も楽なのは、屋外でバーナーと接続し燃焼仕切ること。
燃焼せずともバーナーを接続すればガスだけを出すこともできますが、火気があれば爆発のリスクもあるため、できれば避けたいところです。
難しいのは接続できるバーナーがなく、ガスを使いきれないとき。
これも地域で異なりますが、地区センターや消防署などで回収してくれる場合が多いようです。
先ほどと同じ検索ページの地域の回収方法のページに「中身を使いきれない場合」のような項目があるはずです。そこに具体的な場所が記されています。
それでもわからない場合は近所の消防署に電話で聞いてみるといいでしょう。
CB缶・OD缶のメーカー間の互換性
良く聞かれ、良く問題として持ち上がるシングルバーナーとOD缶のメーカーを揃える。という話。
まず覚えておいて欲しいのはCB缶とOD缶では別ということ。
CB缶の互換性
CB缶は1991年の阪神淡路大震災で避難所で使われるガス缶に互換性がないことが問題になったことから、JIS規格(JIS S2147/2148)で規格が統一されて、どのメーカーのカセットコンロとCB缶でも接続することが可能になりました。
OD缶の互換性
OD缶の接続方法には日本の統一規格は無く、ノズルの太さやネジ穴などの微細なズレでガス漏れや正常に燃焼しないリスクがあることが言われています。
ただ、ヨーロッパのEN417規格(wikipedia)ではOD缶が統一されており、日本のメーカーもそれにならってヨーロッパ規格でOD缶を作ることが多いようです。そのためほぼすべてのOD缶は接続可能で、使うことができるわけです。
それでも日本メーカーでEN417規格を使っていると記載しているメーカーはありません。
それがバーナーとガスカートリッジを同メーカーでそろえること、保険の対象外になることに繋がっています。
生産物賠償責任保険
シングルバーナーを販売する会社はセットでOD缶を用意し、JIA(日本ガス機器検査協会)で検査を受ける必要があります。
検査を通ったバーナーとOD缶は同メーカーセットではガス漏れしないことが検査でわかっているのです。そのため“日本において、シングルバーナーを出している=専用のOD缶が用意されている”が成立します。
専用のOD缶がないから、別メーカーのOD缶を使っているという言い訳はできないわけです。
OD缶には「生産物賠償責任保険付」の文字があります。
プリムスの場合はその下に“ただしIWATANI-PRIMUS製品以外の器具で使用された場合および再充填された場合は責任を負いかねます。”と書かれています。
日本の規格はないまでも、EN417に沿って作られているのに保証されないのはなぜか。
MSRの海外サイトによると、同じ規格(EN417)で作られていても、パーツの品質が保証されないこと、評判のいいメーカーほど優れたバルブを使用していることが書かれています。→https://www.msrgear.com/blog/ins-outs-canister-fuels/
また一番大きいのはバーナーとOD缶を違うメーカーで使って、万が一のトラブルが起きた時に責任の在りかを問えないことでしょう。最悪の事態になっても保証が無しとなる可能性もあるわけです。
自信のある自社バーナーでOD缶を使えば問題なくても、欠陥のある中華バーナーとOD缶を使ったときに問題が起きて責任を問われても困るというのは当然の話です。
安いバーナーが多く出回るようになり、さらにメーカーとしては嬉しく自体なのではないでしょうか。
結局別メーカーのOD缶を使って良いの?ダメなの?
使っていい、使ったらダメと書く立場ではありませんが。
責任が全て自分にきて、家族や同行者、周りの他人など、誰かに迷惑をかける場合もありえるという認識はしておくべきです。特に中華バーナーは度々問題が起こってます。高圧なガスを使った火器は危険なモノであり、便利さ相応にリスクがある認識も忘れたくないモノです。
「OD缶とバーナーに互換性はありますか?」「このバーナーで使っても大丈夫ですか?」と聞く段階の人は純正品のセットで使うことオススメしたいです。
アウトドアを長くしていくなかで自分の考えができてから、他社ガス缶を使う必要性が出たときに、自分で危険度、リスク、使い方を理解したうえで使うべきだと思います。
もし、ぼくが「OD缶に互換性がありますか?」と聞かれれば以下で答えます。
ガスカートリッジの口金の形状は微妙差があり、メーカー違いで多少のガス漏れの危険性はあるが接続、使用は可能。
ただし、万が一の事態が発生した場合も、原則保証を受けることは一切できない。
そのため自分で使うならともかく、他人に対し「使えるよ」というべきモノではない。
自分で使う場合もリスクを理解した上で使うべきである。
メーカー違いのバーナーとガスカートリッジを使う場合には、この認識がいいのではないでしょうか。
安易に自己責任という言葉でまとめるのは簡単ですが、多くの場合で自分以外にも被害が降りかかり、その責任まではきちんと負えないことも多くあります。そこまで認識したうえで自己責任で使うべきだと言えます。
ガスの詰め替え
何かあると保証の対象外となるガスの詰め替え(再充填)。
CB缶→OD缶やOD缶→OD缶という中身を詰め替えるアタッチメントです。
同メーカーのバーナーとOD缶でも、OD缶の中身が違えば想定と違う燃焼になるのは当たり前。
燃焼不良で赤い火柱が上がるなんてこともあり得る話です。
缶自体の目に見えない寿命もあり、バルブから限界がくるようです。万が一はあり得ることなので、できることなら使わないのがベストです。
キャンピングガスの存在
OD缶の異端児CAMPINGAZ(キャンピングガス)
「いや、その綴りじゃキャンピンガスじゃん」と思ったあなた、さすがです。昔はCamping gazという表記で、今はCAMPINGAZになった名残りです。
フランスのアウトドアメーカーで日本から撤退してましたが、1996年に東邦キャンピングガス株式会社→コールマンジャパンに移行し、2015年からコールマンがキャンピングガスを販売するようになりました。
何が異端児かと言うと、OD缶のガスバルブ規格がEN417ではない独自バルブなため、他のガスバーナーと一切互換性が無いことです。
ホームセンターでたまに売ってる真っ青なOD缶。OD缶なら何でもいいや!と間違ってキャンピングガスを買ってしまうと残念なことになるという話です。
燃料の液出し
ガス缶内部には液体燃料としてガスが充填されています。
温度が高いと気化(気体なる)し、低温化では液体となります。そして、気体は上に上がり、液体では下に貯まります。
本来の用途では気化した部分を燃焼しますが、低温下で気化させられない状態でも液体のまま出力するのが液出しです。特に冬に使う場合は、火力の安心感が段違いです。
液出しできるバーナーはあまり多くありませんが、分離式のシングルバーナーとツーバーナーでいくつかあるという感じです。
ぼくも使っているSOTOストームブレイカーは同じバルブでガソリンとOD缶液出しを行えるハイブリッドバーナー→【レビュー】ガソリンもOD缶もOKなSOTO ストームブレイカー!
スノーピークの銀色のOD缶(通称:銀缶)は液出しで使うことも想定し、缶の文字が逆さまで、液出し時に正しい向きになるようになっている面白OD缶です。ガスの混合率もそれに合わせて適度に気化を抑えたモノになっているようです。
OD缶の構造
意外と知らないOD缶の中身と構造。
上がプリムスUガス、下がファイアメイプルガスです。
寒冷地向きのガスでは内容ガスだけでなくガス缶自体に断熱の工夫がされています。
プリムスは厚紙のような紙。ファイアメイプルは段ボールのような紙でした。
手持ちに無かったため試せてませんが、SOTOのガスとEPIパワーガスは同様な断熱仕様になっていると公式ページに記載されていました。
バルブ周りは基本的に同じで短く伸びているだけです。
この黒い部分がジェットボイルはオレンジなど微妙に違いはあり、取り付けの構造もややメーカーで違いがありますが、大差はありません。
第一としては内容ガスですが、物理的な目に見えない部分まで工夫されていて驚いてしまいました。

画像出典:Captainstag
ガス缶の断面図。
燃料を持ち運ぶための道具なので、非常にシンプルなのです。
ただ錆びなど劣化によるトラブルもあり得ます。管理や持ち運びは確実に行いましょう。
クッカーにスタッキング
その形状からクッカーの中に収納することが多いOD缶。
しかし表面加工(テフロン等)がされている場合には、OD缶とクッカーが擦れてしまい、表面加工をはがす要因になることもあります。
ぼくがする対策はOD缶の底をテープで覆うです。これだけでクッカーへのダメージを最低限にすることができます。
飛行機遠征
OD缶のガスカートリッジは飛行機への持ち込みは不可です。危険物扱いです。
そして、シングルバーナーは持ち込み可能です。
飛行機で行く全ての地域でそうですが、特に北海道や屋久島などに登山で訪れる際に知っておきたいのがOD缶をどこで手に入れることができるかです。
例えば百名山の利尻岳。小さな離島で、アウトドアショップなんてありません。登山口に直行したいけど、どこでOD缶が買えるかわからないとなると行程に支障が出てきます。
嬉しいことにシングルバーナーの大手、イワタニプリムスが販売店を紹介してくれています。
空港→登山口へ直行することが多いフィールドを中心にガスカートリッジ取り扱い店舗をまとめてくれています。ありがたいです。
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OD缶一覧
まとめ
「OD缶のすべて」なんていう強そうな言葉を使った自分が恥ずかしいと思う弱い人間です。
便利な道具は正しく使ってこそ、便利な道具です。
火器は特に誤った使い方のリスクが計り知れません。
正しい知識、正しい道具、正しい使い方で安全に快適で便利なOD缶ライフにしましょう!
ガス缶と合わせて使いたいOD缶シングルバーナー比較記事もどうぞ!



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コメント
ぜつえんさんのOD缶に対する説明、今までネットで見たどの解説より的を射ていると感心しました。
ただ、OD缶の使い分けで 3シーズン用は冬に向かないモデルです。 に付け加えて 厳冬期対応のEPIエクスペ、プリムスのウルトラ等は夏季に使うのは危険です。 と追加していただきたいです。
解説では プリムスのウルトラは冬季用ガス缶で夏は避けるようにと注意書 とさらりと触れていますが、危険だときちんと書いてほしいです。
EPIエクスペやプリムスのウルトラは積雪期以外は店頭から引き上げる処置をとっているのは夏季の使用が危険だからです。
以前のスノピはプロパン35%、イソブタン65%の赤缶一種類で寒冷に強いと宣伝してました。2007年からはのプロパン比率を下げたプロイソとプロパンを無くしたイソの2種類に変更し、その時点でガスの混合比率を非公開にしてしまいました。
スノピは赤缶は僅かに一酸化炭素が発生することがあるので、使いかけでも新品のガス缶と交換しますと本当の危険性を伏せてのリコールと記憶しています。
私の友人は夏場に風防で囲ったスノピの赤缶が突然爆発を起こし肝を冷やしたそうです。
赤缶回収の話を事前に聞いた時に、私は厳冬期用にと赤缶を買い占めました。
今、夏場は格安のCB缶のガスを詰め替えて使用しています。ただし缶の錆やパッキンの劣化は危険なので十分に注意しているつもりです。
知識が足りない点もあり、補足のコメントを頂けて助かりました。ありがとうございます。
ご指摘の箇所を以下のように追記させていただきました。
「3シーズン用は冬に向かないモデルです。が使えないわけではありません。あくまで不向き。
しかし、厳冬期用でプロパン比率の多いEPIエクスペやプリムスウルトラは気温の高い時期の使用は厳禁(プリムスは20度以上での使用を避けるようにと記載)です。夏の使用が危険なため店頭に置かない処置を取っている店が多いのは危険だからです。
また、冬用に購入した厳冬期用が余っていても夏に使わないように気を付けましょう。」
スノピは赤缶というのもあったのですね。
プロパン比率多いと高温時に他のガス缶よりも爆発しやすいのかもしれませんね。
危険度の高い火器なだけに今後も情報を精査しながら記事にしていこうと思います。今後もよろしくお願いいたします。
素早い記事の訂正ありがとうございます
これなら、ガスの説明資料として回りの方に紹介させていただきます
匿名となってますが、名前欄を記入する前に飛んで行ったので、まあいいかとなったものです
オススメではありませんがお湯につけるとの記入がありますが、シャキシャキの氷かけた水でなければ0度以上ですので結構効果がありますよ。ノーマルブタン0であればシャキシャキの水でもでも大丈夫です。
キャプテンスタッグ パワーインクリーザー、今でも発売しているのですね。この会社のガスはプロパン無しだから良いだろうけど知らない人にとって危ないな。昔はEPIやプリムスでも名称は違うけど出してましたが、今は絶版になってますね。私は昔入手したプリムスのブースターをいまだに愛用しています。
理論が分かっていれば便利だけど何も考えないで使うの人には危険だなあ
家庭用プロパンボンベの強度が有れば良いのだけれど今のOD缶にどれだけ入れるか各社の悩むところですね。理論的にはエタンやメタンもLPガスとして使えるはずだけどどれだけ頑丈なボンベが必要なのかな?
ヒマラヤ(中国側)に行ったとき、ラサでプロパンボンベからOD缶に直接充填してくれたけど、極地だからそれで済んだけど日本では絶対だめですね。
DVFさん、先日に引き続きありがとうございます。
たしかに、考えたことがありませんでしたが、水でも良さそうですね。お湯より効果は低いながらも安全そうです。
パワーインクリーザー、たしかにプロパン入りだと缶温度上がりますし、危険ありそうですね。
OD缶の強度は余裕持たせてそうですが、そこまで極寒用の需要も少ないのかなとも思ってます。
日本ではOD缶への直接充填はまず無理でしょうね。
コールマンのOD缶の成分比率は半年前にメーカーに問い合わせたことがあります。
レギュラーはブタン85~95%/プロパン5~15%
スーパーはイソブタン85~95%/プロパン5~15%
だそうです。
因みにプリムスのウルトラガスは販売終了したようです。
スノーピークはメーカーに問い合わせても教えてくれませんでした。
なので自分の中では不買運動中(笑)
結局寒い時はガソリンがベストということになりました。
バーナーはかなり古いコールマンのPeak1を持っているのですが、いつ調子が悪くなるかわからないので先日508A700Jを買い足してしまいました。
Hiro様コメントありがとうございます。
コールマン振れ幅大きいですが、寒さに強そうですね。
表に追記させていただきました。
プリムス ウルトラ販売終了なのですね。少し残念。
スノピ同様にジェットボイルも教えてもらえないようですね。
ガソリンは寒い時期は便利です。
コールマンスポーツスターIIは名品ですね。安定感もあって使いやすいです。
SOTOストームブレイカーを使っていますがソロだと嵩張るので用途は少し選ぶなあと思ってしまいます。