こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
DECATHLON様からの提供品でのレビューです。
フランスの総合スポーツ用品メーカーで、良さそうなモノを安い金額で出してる印象のあるDECATHLON(デカトロン)。
関東関西に店舗がありましたが、海で隔たれた北海道民には縁がなく製品を見たことすらありませんでした。
気付けば2022年に全店舗が閉店し、現在実店舗無しでオンラインショップのみです。
今回はそんなデカトロンが展開する登山ブランドFORCLAZのTREK900一人用をレビューしていきます。
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DECATHLON(デカトロン)
1976年にフランスで創業。
現在は世界中に1500店舗以上を展開しているとのこと。すごすぎる。
日本には2019年頃から進出し、兵庫県西宮と千葉県幕張にお店を開きましたが2022年にどちらも閉店。
今後はオンラインショップと卸売りに絞っていくようです。
デカトロンはアウトドアではなくスポーツ総合メーカーでキャンプ、登山など別々にブランド展開しています。
その結果数十個のブランドが出来ています。規模が桁違いなのを感じます。
FORCLAZ→登山・トレッキング系ブランド
QUECHUA→ キャンプ・ハイキング系ブランド
TRIBORD→ウォータースポーツ系ブランド
WEDZE→ウインタースポーツ系ブランド
というようにです。
FORCLAZ(フォルクラ)
登山系ブランドであるフォルクラからはテント、バックパック、ウェア、靴、トレッキングポールなどが出ています。
金額や性能的なブランド単位でのグレードは「ネイチャーハイク以上モンベル未満」程度の印象を持ってます。
値段的にはネイチャーハイク同等かやや高めですが、他登山ブランドと比べるとはるかに安価。
ただ店舗にも行ったことがなく、今回のテント一つしか見てないためあくまで印象です。
公式サイトは使いやすく出来ていますが、ブランド単位で絞った検索が出来ないのがちょっと不便。
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TREK900 一人用
超安いわけではないけど、山岳テントと見て重量パーツ構造工夫を考えれば格安テント。MOBIGARDENとかに近い。
スペック
形状 | Yリッジ(半自立) |
テントタイプ | インナー吊り下げ式ダブルウォール |
総重量 | 1270g |
最小重量 | 1075g |
サイズ (長×幅(頭足元+中央)×高) |
210×(60+70)×110cm |
収納サイズ | 39×11×10cm(4.2L) |
フライシート | 20Dポリエステル Sil/PU(耐水圧2000mm) |
フロア | 40Dナイロン(耐水圧3000mm) |
ポール |
YUNAN Φ8.3mmアルミニウム7075T6
|
ポール構造はぼくがYリッジと呼ぶ、Y字ポール+リッジポールの付いたタイプ。
軽量テントで見かける軽量重視ながら居住性も求めた構造。ニーモMSRビッグアグネスといったアメリカの軽量テントブランドが作ることが多いポール構造です。
ポールにインナーテントをフックで吊り下げ、フライシートをかぶせるシンプルなダブルウォール。
重量は公式サイトにパーツごとの重量が個別に載ってます。アメリカのULブランドでは見かけますが、かなりレアなパターンで嬉しい。
半自立でインナー・フライ・ポールの最小重量1075gは山岳テントの中でも比較的軽め。パーツごとに実測したら最小1090gでした。誤差程度。
値段の安さも思えば森林限界以下の無積雪期テント泊登山では活躍しそう。
珍しいのが韓国YUNANポールを採用していて、それだけで格安テントよりもグレードが一段上。
セット品
セット品。
袋、インナー、フライ、ポール、張り縄×4、ペグ×10、張り縄ペグ入れ袋、補修セットです。
ポールを別収納できるようにポール収納袋が別に欲しかったと思いました。
収納袋にはテントのスペックが描かれています。
ファスナー+フック×2のあまり見ないスタッフバッグ。
フックをひっかけるポイントは3ヶ所あり、バンドで締めることもできますが圧縮効果はほとんどなし。
収納袋の中のタグには設営方法が大きくプリントされています。さすがにデカすぎ。
購入→見て設営→ハサミで切り取り、でもいいのかも。
ポールの節の長さや分割数がわかるのもレア。
収納サイズは39cmですが、ポール長が32.5cmなので袋を変えればもっとパッキングしやすくなりそうです。
個人的に一番テンションがあがってしまったのがYUNANポール。
DAC、イーストンと並んで三大ポールブランドと言われる韓国のYUNAN(ユナン)。
ただDAC一強で他に名前を聞くのがイーストンとユナンという話だと思ってます。
しかし、ヘリテイジのテントでも使われるポールですし品質は高さは触っただけでわかります。
DACポールや汎用中華ポールとYUNANのポールも比べてみました。
YUNANが展開するポールの中では軽量タイプのようです。
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設営
重量以上に大きく感じてしまう収納サイズ。
この大きな収納袋と、フライ、インナー、ポールでさらに別の収納袋があればかなりGOODだと思います。
インナーテント
インナーテント。
手前が入口。
ポール。
Y字ハブとX字スイベルが一つずつあり、全部がショックコードで繋がってるため、組立は初見でも一切迷いなし。
ポール差し込み。
Y字ですがほぼ自立します。
ポール差し込みグロメットは金属製でY字側には調節機構無し。
ポールエンドが樹脂でエンドパーツが簡単に抜けないので使いやすいです。
Y字になった2本の黄色いポールは本体側も黄色で迷わず組み立てられます。
設営に慣れれば必要のない機能ですが、デザイン的にも可愛いですし親切さが何より素敵。
Y字の1本側は黒で、生地から伸びたグロメットに差し込むだけ。
非常にシンプル。
両端にペグポイントがあります。そのペグを使ってフライシートを紐で引っ掛ける仕組みなので、ペグは必須。
センターを吊り下げ。
残りもフックでポールへ吊り下げ。
かなりハリが強く、ややキツめ。
このハリの強さは耐風性に繋がります。
吊り下げフックはシンプル。
リッジポールも金属パーツへ差し込み。
ここも入口側が黄色、奥が黒と色分けされています。
ちなみにこれ、ハブに吊り下げポイントが無くて、インナーテントの上部がフラットになります。
意図はわかるけど、良いのか悪いのか正直よくわからない部分でした。
ここも硬めですが、紐を引っ張ることで着脱しやすくなります。
インナーテントのみでの見た目。
“つ”の字な大きなファスナーが付いてます。
ちょっとわかりにくいんですが、上より下の方が長くて荷物置き場にアクセスしやすい。
前室荷物置きスペースはペグで固定しています。
吊り下げ位置と生地の配置で形状がかなり特殊です。トゲトゲしてる感じ。
吊り下げポイントの少なさもその理由ですね。
結果的にこれは、座った時の目線の広さと軽量性を両立したものでした。
黄色いポール側に寝た時、頭がきます。
60cm幅でスペック的に狭いのはわかってましたが、想像以上に狭く小さい。
後ろ側。
中央の斜め線が斜めに入ってるのが特殊。
中央部のみメッシュでハーフメッシュでしょうか。
ガンガン通気するので春~秋程度を想定してそうです。
上部のみ生地は内側にあるポケット、フライ結露のインナー侵入を防ぐ、フライベンチレーションからの雨を防ぐ意図なんかがありそう。
フランスロゴカッコイイ。
フライシート
フライの設営手順は、
黄色側2ヶ所固定→リッジポール内側固定2ヶ所→黒色1本側2ヶ所固定(ペグ引っ掛け)となります。
フライシートは、黄色側はポール差し込み金具についてるループへの引っ掛け。
金属パーツ多いので破損はしにくいですが、設営はちょっとしにくい。
DACの樹脂パーツの便利さを再認識してしまいます。
リッジポールと固定するためのフライシート内側。
黄色と黒でぱっと見で間違えようがありません。
フライを地面側4ヶ所固定後にここ固定もできますが、かなり大変なので先に付けちゃうべき。
半自立なのでペグ無しでも一応自立しますが、1本足になる黒い側のフライシートはペグに引っ掛ける仕組みで、インナーテントとの接続は無し。
そのためテント的な自立非自立するためのペグではなく、フライシートの固定にペグが必須です。
前室の荷物置きとフライを固定するのは簡易バックル。
差し込めばハマり、引っ張れば取れます。
バックルで付けてペグは付けてない状態。
フライと同じペグに引っ掛けるとキレイに張り出してカッコイイ。
外側が少し立ち上がってるのが細かい作り込み。
正面。
背面と同じくフライの折れ目が斜めに入ってます。
実用性では前室が広くなるから便利ですが、見た目的には好きじゃない。
色味も公式サイトで見るよりもダークなグレーで好きではない。深い赤の差し色が救い。
個人的にやや斜めのこの角度が一番好き。
全然気にもしてませんでしたが、シワを全く気にしてませんでしたね。そういうとこあります。
頭側。
FORCLAZの文字が入ってます。地味で良い。
キャンプ場で見かけてもぱっと見じゃどのブランドがわかりません。
背面。
中央の黒いループで張り縄も張れます。
足元側。
ベンチレーションも2ヶ所。よく見る硬い素材の入ったベルクロで固定するタイプ。
奥はメッシュなど無くテント内直なので夏は虫が入りますし、嵐なら雨が入ってくるので注意が必要です。
前室
このテントで一番驚いたのがフライのファスナー。
ジッパータブがフライの末端に縛り付けられていて、絡まってるかと思ってよく見たら縛り付けられているのに気づきました。
これがあるとファスナーを開けた時にフライが地面に垂れないんですよ。よく考えましたねこれ。
見た目はよくないですが、実際使ってみるとフライの垂れてる部分を固定なんてめったにしないので出入りの時も便利ですし、前室で調理する時も便利でした。
すごい面白い仕組みです。
似たような見た目は良くないけど効果的な小技が多くて刺激なテントです。
前室の荷物置きスペースがあるので荷物を置いたときに泥や濡れを気にする必要がありません。
限界ギリギリですが、95Lダッフルバッグですら置けるスペースがあります。
室内が狭い分、ここを効果的に使うことがこのテントで快適に過ごす秘訣ですね。
ただ室内の入り口からは微妙に遠くここに荷物を置いたままバックへアクセスし、荷物を整理するのはちょっと大変。
どうせなら入口持って広くするか、荷物置き場へアクセスするファスナーを付けても良かったんじゃないかなって思ってます。
前室はあまり広くないですが、閉め切った状態でも調理や食事もできます。
道具多めのキャンプでも荷物置き場があることで道具の管理と人の出入り、テーブルなど色々置けて便利。
北海道とキツネ
やや特殊な話。
北海道のキャンプ場や山のテン場でもキタキツネが頻繁に現れます。
そのキツネが、夜に現れ前室の荷物を咥えて持っていくんです。
キャンプ場もひどいですが、山のテン場では靴やクッカーを持っていかれた話もあり、前室にモノは置かないほうが良いと言われています。
そうなると前室に荷物置きがあって、前室に荷物を置く前提なこのテントの構造はやや北海道に不向きかもなあと思ってしまう部分があります。
もちろん非自立ワンポールシェルターを使ってる人も多いわけで、それに比べれば別荘ですが。それでも気を付けないとな、という話でした。
室内
テントを入口側から見下ろした様子。
左が頭で幅60cm、中央が70cm、右の足元も60cmです。
60cm幅の本体に中央だけ膨れてるような凸形状ですね。
狭いって言われる一人用テントでも90cm幅位だから激せま。
それでも用途を絞って、狭くして、安く軽いのはニッチな需要はありそうで面白い。
サーマレストZライトソル(183×51cm)を引いてみます。
頭側は少し余裕あり、中央は小物を置けそう。
見切れた足元はもっと狭いです。
寝る分には問題ない広さですが、それでもやや窮屈感はありますね。
悪天候だったりするとさらに大変。
寝た時も頭~肩の寝袋が側面に当たって結露すると濡れたので悪天候ならシュラフカバーがあったほうが良いです。1泊なら濡れても問題ありませんけどね。
テント内から頭側。
テント内から足元側。
テントは目線の高さの広さで体感での広さが変わると言われます。
実際中に入って座ると気付くんですが、目線の高さの面積が広くなっていてスペックや見た目ほどの窮屈感がありません。
それが天井がフラットだったり、メッシュで景色が見えるのもそうなのかもしれません。
軽く狭くしつつも広く感じる工夫がされているのです。
かなり便利な頭の上にある小物入れ。
寝たまま手が届くのでスマホやヘッドライト、サングラスなどを入れて置けます。
寝た姿勢で上を見上げて。
分かりにくいんですがポケットが2つ付いてます。
語彙が足りませんが、マチというか、返しというか、折り返して生地があって中に入れたモノが落ちにくくなっています。
ランタンやスタッフバッグなどを入れておくのに活躍します。
ランタンフックも別にあります。
全長210cmと広くはありませんが身長が高くなければ足元に小物を置いておくのもアリでしょう。
ペグと張り縄
ペグと張り縄のケース。
わかりにくいんですが、袋の荷室が二つに分かれてて、かぶせる蓋もあってゴムバンドで固定できる仕組み。
ペグは1本約10gでアルミ製。
こんなゆるキャラいなかったっけみたいな鳥の顔に見えるヘッド形状で紐を通すこともできます。
意外と効いてくれて使いやすいですが、片側でしか紐が引っかからないので差し込む向きを間違うと固定できないのがちょっと不満。
張り縄も希少なプラパーツをフライシートのループに引っ掛けるだけのトグル式。
ただプラパーツの穴が丸じゃなく横長でロープがずれること、プラパーツが滑りやすくフラットな形状なこと。
この2つによってやや抜けやすかったです。
風が強い日はもう少し複雑に引っ掛ければ解決する程度の問題ではあります。モデルチェンジするならパーツは替えて欲しいところ。
他にもシートゥサミットのテントがトグル式の張り縄を採用しています。あちらはブーメラン型で抜けにくそう。
使わないことも多い張り縄で付け外し容易なトグル式はかなり有用で、今後増えてくると思っています。
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類似テント
「Yリッジ+ダブルウォール」なテントを調べるとこの辺り。
トップブランドの軽量フラグシップで他が強すぎるのもあってTREK900が最も重い。それでいて室内も一番狭いのだから素材のグレードの差が大きそうです。
TREK900のここが良い
・前室の荷物置き
・軽量性
・価格の安さ
・広く感じやすい細部の工夫
・YUNANポール採用
・フライのファスナーの工夫
・トグル式張り縄
・ポケットの配置
最大の特徴は前室の荷物置きです。
同じ構造を採用したテントを知りません。
近いモノならニーモ ドラゴンフライバイクパックがランディングゾーンという着脱可能な荷物置きを採用しています。
そして軽量性と価格のバランスの良さ。
最小重量1075gで、25,000円です。
ネイチャーハイクなら半額近い価格で買えますが、作り込みの甘さや素材の質の低さで信頼性は下がります。
あとはTREK900は、細部の工夫にこだわりというか「デカトロンていつもこうなの?」と思う他では見ない工夫が多くありました。
ジッパータブが生地に結ばれてたものや、前室荷物置き、ポールフライインナーの固定の色マーキング、とげとげな吊り下げ形状など、どれも快適性や設営しやすさを上げる工夫です。
使っていて面白いを感じられました。
ここが気になる
・デザインが微妙(色と形状)
・狭い(メッシュでも結露する)
・収納袋が使いにくい
・テント内から荷物置きへアクセスしにくい
大きな不満はデザインと狭さです。
収納袋は別に用意すれば良いですし。
ただこの値段だから、不満と思わない部分もあり、値段なりとも言えます。
もしこのテントが5万円ならもっと生地グレード上げて軽くなりますし、非メッシュになって、ベンチレーションにメッシュが付いたり、吊り下げ機構のあるハブを使ってないと不満を言いそうです。
あくまで狭くすることで軽量性を実現した中に居住性を上げる工夫がされているテントであり、高級山岳テントとは違う妥協があります。
こんな用途におすすめ
・徒歩や自転車でのソロキャンプ
・森林限界以下のテント泊登山
特徴から考えて、安価で軽量で居住性は低い=荷物少なめなアクティビティに向きます。
つまりは人力移動でのキャンプですね。
徒歩や交通機関、自転車でのキャンプ。
夏の好天狙いなら北アルプスでも全く問題ないでしょう。
ただ山はいつ荒れるかわかりませんし、荒れるとこのテントでは辛そうなので森林限界以下の荒れにくいテント泊程度を想定して選びたいテントです。
この値段でYUNANポールやオリジナリティと作り込みが出せるデカトロンのスポーツブランドのとしてグレードが知れてきた気がします。
次に求めるのはデザインの向上と日本山岳向けモデルですね。
まとめ
テントで泊まって、ああぼくはテントめっちゃ好きだなぁと思いました。
建てるのも見るのも触るのも寝るのも好きです。
何ならYUNANポール触ってるだけでにやにやしてました。
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