こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
スリーピングマットの断熱力を表すときに使われるのが“R値”という数値です。
暖かい時期ではあまり気にすることがありませんが春秋キャンプ、特に冬キャンプでは高いR値のマットを選ぶことで快適に睡眠を取ることができます。
今回はR値とは、旧R値のこと、R値の新規格「ASTM FF3340-18」のことを紹介していきます。
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R値(アールチ)とは
R値(アールチ)はThermal resistance valueのことで「熱抵抗値」を意味していて、断熱力の高さを表す値です。
R値は採用しているメーカー、していないメーカーがあり製品には1.0、3.5、6.2のように表されています。アメリカの大手の採用率が高く、国産メーカーではあまり使われません。
この数値が高いほどに断熱力が高くなり、より寒冷地向きのマットであることを表します。
R値は加算的に考えれる!
例えば、R値2.0のマットとR値3.5のマットを重ねて使った場合には2.0+3.5=R5.5相当の断熱力を得ることができます。
厳密には重なり方や隙間、ずれなどで変わりますが、誤差程度のようです。冬や雪上では薄いマットでも重ねることで高い断熱力を発揮してくれます。覚えておくと便利な豆知識です。
R値≠暖かいマット
R値が高いマット≠暖かいマットということ。
R値はあくまで断熱力を表した数値です。結果的に暖かくはなりますが暖かさを表す指標ではありません。
マットの上で寝る場合の熱源はあくまで人間です。
地面からの冷気を遮り、熱損失を防ぐのがR値。人の体温を保持し、反射し暖かさを感じさせてくれるのはマットの機能です。
またR値の高いマットほど熱損失が少なく、熱の保持率が高くなり、さらに反射板などの保温機能がついているため暖かくなりやすいです。
そのため夏にR値の高いマットをしようすると熱いと感じることになります。
ハンモックのアンダーキルトも保温力ではなく、断熱力と考えることでわかりやすくなります。
今までのR値
ではR値はどうやって決めているの?R値〇はどのくらいの断熱力なの?と思いますよね。
これが今までは各メーカー独自の検査方法で測られていたため同じR値を使った表記でも統一性がなく、メーカー間での比較ができないという困った状況でした。
中でも検査が厳しくスリーピングマットの大手サーマレストが基準にしやすく指標になってました。
統一性に欠けることはメーカーも承知でニーモなどはR値ではなく-〇度対応、とR値ではない表記をしていました。
最近購入したプリマロフト入りマットは旧R値でR5.0でした。→
コスパ抜群JR GEAR(ジェイアールギア) プリマロフト入りマット! – ぜつえんアウトドア
2020年 R値規格「ASTM FF3340-18」で統一
これが2020年にR値の規格・検査方法が新しくなり統一されました。寝袋のヨーロピアンノーム(EN13537)のようなモノです。
サーマレストを中心にアメリカ企業でスリーピングマットを出している大手アウトドアメーカーが次々と参加し、新R値で記載するようになる動きが出てきています。
現状ではサーマレスト、ニーモ、シートゥサミット、ビッグアグネス、エスクペド、REI、マウンテンイクィップメントが新規格のR値に対応しています。
すでに多くの公式サイトや販売サイトでは旧R値から新規格のR値に記載変更されています。
新規格に移行できたものは製品には箱にマークが、ページには「ASTM FF3340-18」の記載がされるようです。
変更前後のR値は英語ページですがこちらのサイトが一覧比較でわかりやすいです→
The New Sleeping Pad R-Value Standard Has Arrived – Section Hikers Backpacking Blog
R値統一のメリット
R値が統一されるメリットはメーカー間のマットを正しく比較ができるようになることです。
例えば、今までのR値表記だとサーマレストのR値3.2のマットを使っていた人がシートゥサミットのR値4.2のマットに変えて冬に使ってみたらサーマレストを使っていた時もシートゥサミットに変えたほうが床冷えしてしまいました。
なんてことが当たり前にあり得たのです。
事実新規格でサーマレストのマットが3.2→4.2に、シートゥサミットで4.2→3.5になったモノもあります。実際は3.2のマットのほうが断熱力に優れていたということです。
そのため、近いR値のモノで大体同じくらいの断熱力なんだろうなぁ程度でしか見ることができなかったのです。
R値が統一されることでメーカー間、同メーカーのマット間でも差異がなくなり、数字で断熱力を比較し、あとは重量や使い勝手で比較することができるようになったのです。
今までそうじゃなかったのが不思議な話ですが、ユーザとしては本当に嬉しい助かる話です。もっとたくさんのメーカーが採用してほしいですね。
強いて危惧することがあるとすれば、新R値の検査方法に向いたマット、向いてないマットがあるのではないか?という点。
ゴアテックスなどの防水素材の検査で素材ごとに向き不向きがあるのと同じくマットにはないのかということです。個人にはわからないことですし、マットはそこまで厳密な性能が求められるわけじゃないので問題なさそうですけどね。
旧R値→新R値で変わっても製品は変わらない
今までと違う検査方法になってR値の基準も変わり、多くのマットのR値が変わっています。上がったマットもあれば下がったマットもあります。
しかし自分が使っていたマットのR値が今までだったのが2.6から2.0になっていたとしてもそれは断熱力が落ちたわけではないということ。
製品は何も変わっていなく、検査方法が変わったことで数値が変わっただけで正当な評価をされただけです。
今までR値高いのに寒く感じるなぁと思っていたマットのR値が下がっていたのなら納得のいく結果と言えます。
「ASTM FF3340-18」の検査方法
新しいR値の測定は2枚の板でマットを挟みこんで測定するようです。
下に冷たい板、その上にスリーピングマットを置きます。
この時に上の板を一定の温度で維持できる断熱力を元にしてR値を算出するということです。
新R値の目安

これはシートゥサミットから新R値の目安。

こちらは日本サーマレストから新R値の目安、それぞれ表に。
シートゥサミット | ||
寒さに強い人 |
暖かく寝たい人
|
|
暖かい時期 | 0.5~1.0 | 0.5~2.0 |
肌寒い時期 | 1.0~2.5 | 2.0~3.5 |
寒い時期 | 2.5~3.5 | 3.5~4.5 |
氷点下以下 | 3.5~ | 4.5~ |
サーマレスト | ||
夏 | 1.0~2.0 | |
3シーズン | 2.5~3.5 | |
4シーズン | 4.5~5.5 | |
エクストリーム | 6.5~ |
夏メインか春秋も想定のなら2.0~3.5位、冬用なら4.0以上、余裕を持たすなら5.5以上を選ぶのがよさそう。
気温、地表温度、テント、体調、寒さに強い人、女性、天気などで寒さの感じ方は大きくことなります。心配があればよりR値高いモノを選ぶのが確実です。
新R値でも揺らがないどころか戦闘力をあげてR5.7→6.9になったサーマレストのネオエアーXサーモが最強なのではと思ってしまいます。今までバルブが欠点でしたが、2020年にウイングロックバルブになり空気入れは3倍、空気を抜くのも2倍になり、値段以外に弱点の見当たらないマット。
新R値を採用しているメーカー
日本メーカーでスリーピングマットを出しているモンベルやイスカなどは元々R値を採用していません。
理由は不明ですが、高R値の山岳用マットをそもそも出していないため必要性は薄いです。さらに、R値を測る機材がかなり高額でそれも気軽に導入できない要因でしょう。
そのため現状はアメリカの大手メーカーしか新R値を導入できていません。
新R値を使っているメーカーを紹介。
サーマレスト
上でも出てきましたが、言わずと知れたスリーピングマット界のロールスロイス。
エアマットが3万円!?と驚きの高さですが、性能は随一です。
R値6.9のネオエアーXサーモも驚きですが、夏用のネオエアーウーバーライトは超超軽量コンパクトです。
R2.3ながら、183cmフルサイズが250gで収納15x9cmというから驚きです。もちろん超高額。
シートゥサミット
バルブ、寝心地、強度で定評のあるシートゥサミットのエアマット。
軽量性、厚み、保温力のバランスに優れたイーサーライトXTインシュレーテッドは4シーズン使える万能モデルです。
R3.2、厚さ10cm、フルサイズ490g
ニーモ
日本向きなテントやマッドを出して山岳テン泊~平地キャンプまで瞬く間に市民権を得たニーモ。
2020年新製品のフライヤーはエア+フォームパッドで軽量コンパクトながら快適性を追求した新ジャンルのマットでエアよりはインフレータブルマットに近い存在といえます。
R3.3、厚さ5cm、フルサイズ640g
エクスペド
ユーザに寄り添った使い勝手の良い独自な仕様を多く採用したエクスペド。
ダウン封入エアマットはエクスペドの独壇場です。
R7.1、厚さ9cm、フルサイズ480g
ビッグアグネス
アメリカではトップシェアのキャンプブランドであるビッグアグネス。
ビビットな日本ではありえないカラーと奇抜なデザイン、幅広いラインナップが魅力です。
年々日本でも製品数が増えてますが、最近はキャンプ向けなマットやファニチャーが増加。
インシュレーテッドエアコアウルトラは、R4.5、厚さ8cm、600g
豆知識
空気量を減らしてもほぼR値は変わらない
底付き防止と断熱力を上げるためにエアマットは分厚い商品が多いです。
軽量マットでも5~10cm程度の厚さがあります。
でもパンパンに空気を入れると反発力が高くなり、浮遊感が上がり、逆に寝心地が悪くなってしまいます。
そのためエアマットの空気量を減らして寝心地を調整することがあります。
でもエアマットの空気量を減らすほどR値は減らないの?と思うわけです。
空気の層が十分確保されていれば、地上高が1cm下がったとしてもR値は誤差の範囲です。
例えば、6.4cmのマットが空気を抜いて5cmになったとしても、R値の差は0.1ほどの差ですねぇ。
0.1の差を実感するのはかなり難しいです!— MSR日本総代理店モチヅキ (@Mochizuki_Gear) October 14, 2020
サーマレストやMSRの代理店であるモチヅキさんのツイートがわかりやすかったです。
多少抜いても誤差程度で、体感できるような変化はないということでした。
空気量を抜いて寝心地を調整しても大丈夫ということですね!
それでも、地面付きするほど空気を抜くとさすがに底冷えしてしまいます。抜きすぎにはご注意を。
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まとめ
検査設備の導入も容易ではないのでアメリカメーカーが中心で日本メーカーに導入はされないように思われます。
中国は導入してくれないかなぁと期待しています。
なんにしても明確になったのはアウトドアユーザとして非常に嬉しいですね!



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