こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
ダウンシュラフの保温力や重量を比べる時に参考にしたいのがダウンの量です。
NANGAは280DXのように、イスカは280Xのように、ダウン量を製品名にそのまま使っています。国内外問わずダウン(や化繊)の量を製品名にすることかなり多いです。
FPやシェル素材や形状も重要であり、ダウン量だけ保温力はわかりませんが、ユーザとしては参考にしやすいメーカー間の製品を比較しやすい指標の一つであり、有りがたい限りです。
ところがどっこい、寝袋の超大手“モンベル”はダウン量が非公開で寝袋は#0~7という独自の表記で種類分けてるんだ!
寝袋が好きで、寝袋記事を多く書いていると本当にわかりにくいなあと思っている点でした。
しかし、ふらっと見かけたアメリカ版のモンベル公式サイト“mont-bell USA”ではダウン量が記載されていました!
今回はモンベルUSAでダウン表記があり、モンベルのダウン製品への理解度が増して他メーカーとの比較がしやすくなって嬉しい話をしていきます。
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モンベルUSA
モンベルアメリカ。
モンベルアウトレットなどでUSサイズがあることから、US仕様のモンベル製品があるのは知ってました。でも、ダウン量の記載あったなんて驚きでした。
寝袋のダウン量
実際に販売ページを見てみます。これはダウンハガー800#0。
ページ下部のSPECE(スペース)にあるFill Wight(フィルウェイト)がダウンの封入量です。
#0で700gなので、NANGA750よりも少ない程度ということになりますね。
保温力はそれだけで決まりませんが、保温力、金額、シェル重量など比較がしやすくなります。
ダウンウェアのダウン量
ダウンウェアもダウンの封入量が記載されていました。
ぼくもフードなしを使ってるアルパインダウンは200g。ぬくぬくですね。
と思いきや全く同じ製品のはずですが、製品重量が違いました。
よくよく見てみるとサイズ表の数値が違うためウェアのサイズがそもそも違うであろうことがわかります。
測定箇所はどちらも4ヶ所ですが1カ所違いがあり、日本は身長を記載しますが、アメリカでは腕の長さを測っています。
服の規格は国ごとにJIS(日本産業規格)のようなもので分けられているようで、その違いからでしょう。
また公式の表は日本がセンチ、アメリカがインチでわかりにくい。
S | M | L | ||
日本
|
胸囲 | 86-90cm | 90-95cm | 95-101cm |
胴囲 | 72-76cm | 76-81cm | 81-87cm | |
股の高さ | 71-76cm | 74-79cm | 77-82cm | |
USA
|
胸囲 | 91-96cm | 99-104cm | 106-111cm |
胴囲 | 73-78cm | 81-86cm | 88-93cm | |
股の高さ | 78cm | 81cm | 82cm |
センチに直して表にしてみました。
共通している3つの項目で比較、USAのインチの少数は切捨てで計算しています。
同サイズを比べたときにUSAのほうが一回り大きいのがわかります。
大きいと使う生地の量も増えて重量が増します。隙間が増えるためダウンの充填量も増やさなければいけません。
結果同じウェアでも日本のSサイズよりUSAのSサイズのほうが重く、ダウンが増えることになります。
そのため寝袋のように一概にダウン量を知ることができません。
しかし、大きくも変わりはしないでしょう。アルパインダウンパーカでもUSAが200gの場合、日本モデルで180~190g程度ではないかと思われます。
その他にわかること
ちなみにダウン以外にも記載があって面白かったです。
化繊の量
例えば、USA版のULサーマラップパーカ。
これは化学繊維(化繊)の中綿を使った保温着(インシュレーション)です。
モンベルはエクセロフトという化繊を使ってますが、ダウンじゃないので〇gと記載はできないため、別の表記が使われます。
化繊はシート形状になっているため自由に厚さを調整して封入ということができません。そのため1メートル×1メートルの面積である㎡(平方メートル)辺りの重量で計算します。
そして“1㎡辺り40gという重さのエクセロフトを使ってますよ”、という表記が40g/㎡です。
生地で使われることの多い表記です。
生地の厚さはメーカー次第である程度規格があり、40g/㎡・80g/㎡・120g/㎡などを使い分けています。保温力を上げようと思うと厚い(重い)生地にして対応するのです。
USA独自モデルのサーマラップガイドは胴体部分に120g/㎡、腕部に80g/㎡、フードに50g/㎡のエクセロフトと使い分けて動きやすさと保温力のバランスを調整しています。
この中綿の厚さも日本モンベルサイトには記載がないモノです。
ちなみにエクセロフトを使った寝袋“バロウバッグ”には記載がありませんでした。
フリースやウールの生地重量
同様に生地の重さがウールやフリースでも記載されていました。
これである程度生地の厚さがわかる人にはわかってくるはず、です。ぼくはわかりませんが。
スマートウールやアイベックといったウールウェアブランドは製品名に150や250という数字が付き、生地の重量を製品名にして種類分けしています。
使用者も多いモンベルのメリノウールはLW(薄手)で120g/㎡・MW(中厚)で160g/㎡・EXP(厚手)で215g/㎡という重量でした。
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寝袋のダウン量一覧
製品名 | ダウン量 | 重量 | FP | コンフォート (℃) |
リミット (℃) |
エクストリーム (℃) |
ダウンハガー800 EXP. | 1080g | 1500g | 800FP | -13 | -21 | -44 |
ダウンハガー800 #0 | 700g | 1090g | 800FP | -7 | -14 | -34 |
ダウンハガー800 #1 | 570g | 946g | 800FP | -3 | -9 | -28 |
ダウンハガー800 #2 | 400g | 759g | 800FP | 0 | -6 | -23 |
ダウンハガー800 #3 | 280g | 595g | 800FP | 4 | -1 | -16 |
ダウンハガー800 #5 | 170g | 458g | 800FP | 8 | 4 | -10 |
ダウンハガー650 #0 | 850g | 1390g | 650FP | -8 | -15 | -36 |
ダウンハガー650 #1 | 700g | 1220g | 650FP | -5 | -12 | -31 |
ダウンハガー650 #2 | 450g | 928g | 650FP | -1 | -7 | -25 |
ダウンハガー650 #3 | 300g | 720g | 650FP | 3 | -2 | -18 |
ダウンハガー650 #5 | 200g | 599g | 650FP | 8 | 3 | -11 |
参考→USAモンベル寝袋一覧
寝袋もすべてにダウン量の記載があるわけではありませんでした。
ダウンハガー800と650の2種類です。
今年登場に話題となったシームレスダウンハガー900シリーズは少し特殊だからか記載なし。
ストレッチ性を落としたアルパインダウンハガーやダウンハガー女性用はUSAモンベルでは扱ってませんでした。
ダウンハガーのロングモデルは記載がありましたが、長い分増量されているという感じですね。
ダウン量で考えたことなんてなかった!という人はこちらもどうぞ!
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ダウン量がわかるとどうなるか
製品重量があって、生地の厚さがあって、EN13537対応の保温力があって、ダウン量がわかったくらいで何か変わるの?と思うじゃないですか。
変わるんだこれが、という話をしていきます。
メーカー間比較がしやすい
ダウン量がわかる一番のメリットはメーカー間の比較がしやすいことじゃないでしょうか。
mont-bell(モンベル) | ISUKA(イスカ) | NANGA(ナンガ) | |
製品名 | ダウンハガー800 #3 | エア 280X | UDD BAG 280DX |
ダウン量 | 280g | 280g | 280g |
重量 | 595g | 570g | 550g |
FP | 800FP | 800FP | 770FP |
コンフォート (℃) |
4 | 3.6 | 8 |
リミット (℃) |
-1 | -1.6 | 4 |
構造 | ボックスキルト | ボックス+ シングルキルト |
シングルキルト |
シェル | 10Dナイロン | 15Dナイロン | 15Dナイロン |
シェル重量 | 315g | 290g | 270g |
最もわかりやすいのが、3シーズンシュラフの比較です。
イスカはEN13537基準ではないですが、エア280XはEN13537での結果も記載してありそちら。
モンベル、イスカ、ナンガで全て280gダウンを使っています。ナンガのみ770FPですが誤差程度でしょう。
縫い方の違いで保温力とトータル重量に違いが出てます。スペックだけ見ればイスカが一人勝ち状態。
モンベルとナンガは重量保温力共に差が大きく差別化できそうです。
そして“重量-ダウン量=シェル重量”という項目も作りました。
ダウン以外の要素で生地とジッパーなどの重量です。構造が違うため比較できませんがシングルキルトのナンガが軽く、ボックスキルトのモンベルが重いという結果になってます。
mont-bell(モンベル) | ISUKA(イスカ) | NANGA(ナンガ) | |
製品名 | ダウンハガー800 #0 | エアプラス 630 | UDD BAG 630DX |
ダウン量 | 700g | 630g | 630g |
重量 | 1090g | 1030g | 1045g |
FP | 800FP | 800FP | 770FP |
コンフォート (℃) |
-7 | × | -5 |
リミット (℃) |
-14 | -15 | -10 |
構造 | ボックスキルト | 台形ボックスキルト | 台形ボックスキルト |
シェル | 10Dナイロン | 15Dナイロン | 15Dナイロン |
シェル重量 | 390g | 400g | 415g |
こちらは冬用。
イスカはEN13537じゃない独自規格で表示。
ダウン量が変わり保温力がずれますが、シェル重量がほぼ横並びで同グレード。
台形ボックスキルトはボックスキルトよりもコールドスポットを潰しやすい構造で、イスカ、ナンガが採用しています。
モンベルは10Dナイロンで最薄生地。それプラスボックスキルトだからかシェル重量は最軽量。
ダウン量がわかり、シェル重量でわかることで、国内大手3社のマミー型で比べた時に快適性ではなく、重量対保温力で見れば構造的には大差はなく、寝袋は構造的にほぼ完成された物なのではということです。
イスカは今年から撥水ダウンを採用したり、3D構造をさらに変えたセパレートボックスと呼ばれる縦向きのバッフルを追加しました。
モンベルは900FPでシームレス構造の寝袋を作ってきました。
ナンガは永久保証と撥水ダウン、防水生地(オーロラ)を使った寝袋がメインです。
完成された寝袋だからこそ、少し方向性を変えた路線にチェンジする転換期なのかもしれません。そう感じられるのがモンベルのダウン量と、そういうわけですきっと。
メーカー間を全てのダウンシュラフを一覧で比較した記事!
知るのは面白い
色々ややこしく考えてはみたものの、知らなかったことがわかるのは面白いということでしょう。
知るに勝る喜びは何事にも替え難いモノです。
そして、知ったことを話したくなる人間てそういうものでしょう。
ブログを書いていると“書く”以上に“調べる”が多くなります。
面白いが一番の原動力であり、それが好きなアウトドアのことでよかったなと思いながら書き綴っています。
どれだけ続けても知らないことが増えていくアウトドア、それがモチベーションになっているのでしょうね。
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まとめ
驚くほどまとまった後のまとめですが。
知ってはいけないことを知ってしまったような、何とも言えない背徳感と嬉しさがあります。
にしても日本モンベルはどうしてダウン量を記載しないのでしょうね?必要ないっちゃないと思いますが、隠す必要もないように思います。
なんにせよ、ぼくらは知ってしまって、また一つ賢くなってしまったわけです。
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