こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
雪山登山、雪遊び、冬キャンの食器洗い、冬のバイク、日々の雪かきにと使われる冬の味方「防寒テムレス」
本来の用途が何だったのかなんてメーカーの想定に収まらないのが優秀な道具たらしめる所以。
冬前に登場した新作ということで実用前のファーストインプレッションですが、テムレス自体は使い知られた製品で使用感に問題はないでしょう。
今回は遂に登場した加工無しで使える新作テムレス05overshellを紹介していきます。
※アイキャッチ画像は”のぼるひと”の管理人ディーアイ様にインスパイアされてます。
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ショーワグローブ 防寒テムレスとは
想定外の使われ方に気付いてしまったショーワグローブさん。
2019年にアウトドア用途にフォーカスしたアウトドアブランド「TEMRES」を立ち上げ、ブラックカラーのウィンターグローブを販売し始めました。
テムレスの特徴
防寒テムレス最大の魅力は圧倒的安さでしょう。
農業や漁業とターゲットとした使い潰される消耗品であるためにアウトドア用品とは価格帯が異なります。
とはいっても毎日仕事で使う人達向けなわけで、週末登山者なら数シーズン使い続けられる耐久性があってこの値段。
メインにするには不安ですが、サブとして持つのに価格で悩む必要はありません。
この安さながらポリウレタンの3層構造で、水没に耐える完全防水性と汗を排出する透湿性を備えた防水透湿素材で出来ています。
テムレスという製品名の由来が「手+蒸れ+無し(レス)」なのがこの透湿性あってこそです。
ただ透湿性はオマケ程度の性能だと思っています。
縫い目のない一体成型でシーム処理の必要もなく、水中に突っ込んでも浸水も保水もしないのは高価なアウトドアブランドの防水グローブよりも優れる点です。
濡れる→凍結の心配がないのもテムレスのメリット。積極的に雪を触っていくことができるため雪洞掘りやイグルー作りには必須の手袋です。
さらに-60度でも硬化しない素材なので厳冬期の3000m級だろうと操作性が落ちることはありません。
※-60度で使っても寒いワケではありません。
そのため雪山登山ではテムレスの防水透湿素材を活かし、ウールグローブをインナーに使うことで保温力と防水性を両立して使われています。
ぼく的テムレスの魅力
周知なウィンターグローブとなったテムレス、レビューやSNSで使用者の意見を多く見かけます。
ただテムレスのメリットを勘違いしてる人が多いように思います。もしかするとぼくの認識が違うのかもしれませんが。
テムレスの魅力は3つ。
・安価な防水オーバーグローブ
・操作性の高さ
・保水凍結しない素材
安いのは言わずもがな、操作性の高さも5本指でまあわかります。
メリットという認識が薄いと思うのは保水しない素材であることです。
防水透湿素材として有名なゴアテックスのグローブはそれなりに保水し凍結します。表地を合わせる必要があり、メンブレンと表地やその間が保水スペースとなってしまうのです。
雪に長時間触れるラッセルや雪洞作りやテント整地などをすると、雪が付着→手の熱で雪が溶け濡れる→保水します。
そのまま外気で放置すれば凍り付いてしまいます。
その点、テムレスは保水もしなければ雪の付着で硬化する心配もありません。
それなりな操作性があるためテムレスのままテント設営も問題無し。
つまり、保水しないテムレスは雪に触れるシーンでこそ活躍する手袋というわけです。
他の人は知りませんが、ぼくはそれを求めてテムレスを使ってます。
積雪量が多く、雪山登山の中に雪遊び要素を含むことが多い北海道では、雪遊び用グローブとして防水透湿グローブとは別にテムレスが活躍します。
あとよく聞く「テムレス暖かくない」や「テムレス寒い」という話。価値のないボアに期待してる人か、インナーグローブの性能が低い人たちなのでしょう。
防寒という製品名に期待しがちですがペラッペラのハードシェルのように、対候性はあれども保温性を期待する道具ではないはずです。保温力はゴアテックス5本指グローブと変わりません。
テムレスの種類
アウトドア用テムレスも徐々に種類が増え、今回登場した05overshellで5種類。
+キャンプ用な11craftsmanと21heatguardも出てたりしますが用途違いですね。
比較用に防寒テムレスも入れましたが01winterとデザイン以外は同じモノ。
それぞれ内側のボア(起毛)、ドローコード付きカフ、大きさの3点からなる構成で特徴が異なります。
ボア付きのwinterとボア無しのadvenceにはカフの有無で2種類ずつ、大きめボア無しovershellという一度覚えればわかりやすい名前です。
そして、表記に悩みましたが大きさとサイズ展開は別物です。
どういうことかと言うと。
意外と知らない人が多いようですが、ボアの付いてないテムレスは同じサイズ(表ではLL)でも実際に履いたサイズ感は小さくなります。
同サイズなら指の長さは同じで全長はカフ等に左右されますが、手のひらまわりが別サイズです。
そのため同じLLでも着用時のサイズ感は
となります。
同じLLでも素手で履くと05はガバガバサイズでも、03ならピッタリということ。
ボアのない03や04はインナーグローブを履くことを想定されていないため冬の使用は厳しめです。
内ボア剥ぎ
防寒テムレス、01、02に付いてる内側のボア。
単体では防水しかないテムレスに防寒機能を付けてるのがこのボアです。
ただこのボア、大して暖かくもないし、濡れたら乾かすのが大変だし、汗を吸ったまま放置すると臭くなるという曲者だったりします。
登山者的には「内ボア付きのテムレスが大きめなサイズ感でオーバーグローブに適してるが、どうせウールグローブを履くんだから内ボアは必要ない邪魔な存在」なわけです。
ではどうするか。
そう、いらないボアは切ってしまえばいいんです。
茶色い外周部で固定されているだけなのでハサミを入れれば簡単に切り外せます。
これで大きめサイズの格安防水グローブの完成。
もっと手間をかけれるならカフを縫い付けてもいいし、カフ付きボア付きな02winterのボアを切り取ればもっと楽。ガンガン使うならリーシュコードを付けたり、手首に絞りを付けても良い。
ただ02winterはテムレスの中でも一番高額ですし、防寒テムレスや01winterにカフを求めると自分で付けるしかない。
なぜ加工無し使える理想のテムレスは存在しないのだ・・・。
というのが2022年までのテムレス事情でした。
そして、ついに登場したのが05overshell(オーバーシェル)。
おまたせしました、理想のテムレスです。
01や02よりも気持ち大きいサイズ感で、ボア無しカフ付きという雪山登山者が面倒な手間をかけて目指した完成形が商品として登場。
すごい雑に言うと02からボアを無くしたモノが05。02よりも1000円程度安く販売されています。
違う雑な言い方では03を大きめサイズにした05で、金額は03とほぼ同じ。
そんなテムレスが05overshell。
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TEMRES 05overshell
05overshell(LL) | |
全長 | 34.0㎝ |
手のひらまわり | 27.0㎝ |
中指の長さ | 8.3㎝ |
実測重量 | 42.6×2=85.2g |
長い前置きでした。
もうここまで話したらあとは消化試合みたいなもんです。
05overshell(オーバーシェル)をサクッとレビューしていきます。
見た目
L・LL・3Lの3サイズ展開だったので防寒テムレスで使ってるLLを購入。
裏面。
肌触りも悪くはありませんが素手で履くには大きすぎるのと冷たいです。
重量は片手42.6g。両手で約85.2gです。
ISUKA ウェザ-テックオ-バ-ミトンが約100gなのを考えると妥当な重量ですね。
両手分を丸めるとこのサイズ。
ぺらっぺらなのでポケットや隙間に仕舞っておけるのがテムレスのいいところ。
冬だけじゃなく冷え込みやすい秋登山でも携帯しておけば活躍する手袋です。
今更気付いたんですが平置きしても指がまっすぐにならないのは立体成形しているんですね。安いのにすごい。
青テムレスは「防寒テムレス」の文字がダサかったのですが、新ブランドとしてのTEMRESは全部英語で気にならないロゴです。
短めなカフには縫い付けられたコードロックと茶色いバンジーコードが付いてます。
注意点、カフは非防水生地です。
カフを絞ることで雪の直接的な侵入は防げますが、カフまで雪や水が付くシーンでは確実にしみこんでしまうことを忘れずに。
カフは約5.5cm。
絞るとやや内側に入り込むのでさらに短くなります。非防水なのは問題にはならなそうです。
他のカフ付きにもついてますがまとめて置けるプラパーツ付き。
必要無ければペンチなどで簡単に取れます。
ドローコード付きカフ
コードロックが本体に縫い付けられてるためワンアクションでカフを絞ることができます。
アウトドアグローブでは当たり前ですが、初めてこの手のグローブを履いた時は感動しました。
履いた後は末端のコードストッパーを引っ張るだけ。
それだけでカフが絞れてしまいます。
インナーグローブ
おそらくテムレス初のインナーグローブを合わせる前提のグローブです。
逆に言えばインナーグローブ必須。
定番はラックナーグラブ(旧ラックナー ヒマラヤングラブ)。
未脱脂ウールで保温力抜群、ウールのスケールで汗冷えもしにくいです。
ぼくはモンベル ウールトレールグローブを使ってます。
1-2シーズンで穴が空いてしまう耐久性の低さが悩みですが保温力は高くおすすめ。
サイズ感
スペック的にはボアの付いた防寒テムレスや01、02よりやや大きいサイズの05。
ですが、ボアを切った防寒テムレスと履き比べても体感では差がわからないレベルでした。
すでにボアを切ったテムレスを持ってる人はそれを参考に選んで間違いありません。
まだテムレスを持ってない人はインナーグローブを持参してアウトドアショップに行きましょう。
05overshell | 全長 | 手のひらまわり | 中指の長さ |
L | 32.5㎝ | 25.0㎝ | 7.8㎝ |
LL | 34.0㎝ | 27.0㎝ | 8.3㎝ |
3L | 35.0㎝ | 28.0㎝ | 8.7㎝ |
3サイズ展開で手のひらまわりと指の長さで個人差が出てきます。
ぼくはLLで、インナーグローブを履いても指先が少し余る程度で大きめ。
用途次第ですが、ぼくのようにテムレスに細かい操作性を求めないなら大きめが暖かいのでベスト。
操作性を求める人はピッタリサイズを選びましょう。
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手を加えるなら
基本的に無加工で使える完成されたテムレスですが、まだまだ手の加える余地はあります。
ロゴ消し
プリントされたロゴ。
青テムレスほどではないですが、まあ要らないので気になれば消していいでしょう。
マニキュア除光液とかシール剥がしとか工夫してる人が多いですが、食器洗い洗剤をスポンジやタオルに付けて擦れば簡単に落とせます。
リーシュコード取付
雪山では脱いだ手袋を地面に置いておくのはNG。リーシュコードが推奨されます。
付けれる場所は2箇所ありますが、緑丸ではコードロックと干渉してしまいそうなので赤丸がいいでしょう。
個人的にはテムレスはあくまでサブグローブで、落としても大した問題にはならないと考えてるためリーシュコードはつけてません。
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不満点
こんな3000円もしない安いグローブに不満を言うのも申し訳ないのだけどまあ不満点。
カフが非防水
カフが非防水なのは一番突っ込みやすい不満点でしょう。
ただ実用シーンでは大した問題ではないと思ってます。
絞りコードが上向き
カフのコードロックとコードが上にあるため、活動中に邪魔になることが想定できます。
ただ他グローブを見てみるとブラックダイヤモンドは下になる位置でしたが、モンベルは上でテムレスと同じ向きでした。
意外と邪魔にならないのかもしれませんね。
テムレスはリーシュコードを付けれる場所も上側にしかありません。
ブラックダイヤモンドとモンベルはどちらも下です。これもまた邪魔になりそう。
ゴムコードが長い
モンベルはピッタリの長さでしたが、テムレスはゴムコードが長すぎます。
コードストッパーの再利用をするのは難しいですが短くカットしても良いと思います。
カフをワンタッチで緩める工夫がない
ブラックダイヤモンドやモンベルの手袋にはコードロックの延長線に掴める部分があり、引っ張るだけワンアクションで緩めれる工夫がされています。
テムレスもワンアクションで絞ることは出来ましたが、緩める機能が無かったのは残念なポイントです。
そのためコードロックを押し込んで緩める必要があってちょっと面倒です。
ベストバイテムレス
不満も書いてはみましたが雪山で使うなら現状ベストバイテムレスと言って間違いありません。
雪山用途なら今後このテムレス05overshell以外の必要性がわからないレベルです。
とは言ってもカフがあると着脱が手間だったり、内起毛がないと素手で履きにくいといった部分もあるので用途で使い分けしましょう。
VBL
ところでVBLという防寒システムはご存知ですか?
「Vapor Barrier Liner」の略称で「蒸気を内側から防ぐ」的な意味を持ちます。
冬は手袋も2-3枚のレイヤリングしますが、一番内側に透湿性ゼロなゴム手袋を履くことで内側からの手袋濡れを防ぎつつ、防寒も出来てしまう防寒方法です。
テムレス+インナーグローブを履くときもVBLすることでインナーグローブの濡れを防ぎながら保温力を上げることができます。
短時間の登山ならメリットも薄いですが、雪山で樹林帯→稜線→山頂→稜線→樹林帯と歩くときに樹林帯では手汗で手袋が濡れてしまいがちです。
そのまま稜線に行くとアウターグローブを履いてるのに指先が冷えてしまうため、替えのインナーグローブが必要になります。
その手間とリスクを回避するのがVBLシステムです。詳細は別記事から。
いつかはトリガータイプのテムレスを
冬用グローブと言えばテムレス。
3本指のテムレス作ってくれないかなーって毎年言ってますね。 https://t.co/9smnShCf2h— ぜつえん (@zetuenonly) October 2, 2022
毎年知ってるテムレス素材で3本指(トリガーフィンガー)タイプのテムレスが出てくれたら嬉しいなって話。
5本指よりも暖かく、ミトンよりも操作性が高い中途半端ながら雪山登山では定番の形状です。
現状それを探すとスプリンゲン トリガーミトンを改造するのがベスト。ですがちょい高い。
ぼくが以前作ったのはミエローブのミトンにカフを付けたモノ。
深雪ラッセルもできるように肘上まであるカフを付けました。
ミトンは暖かいですが操作性が低くく出番は限定的でした。
やはりテムレスに作ってもらいたいなと、06overshell triggerとかで。ショーワグローブさんお願いします。
まとめ
ユーザの使われ方を知ったメーカーがその製品を作る流れは面白いです。
ようやくぼくらが求めていたテムレスが出来たなという感想でした。
ここからは未開の地。今後はどんなテムレスが出てくるのかワクワクが止まりませんね。
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