こんにちわ、ぜつえん(@zetuenonly)です!
発売するする詐欺でやっと発売され、早2年。
前モデルのMUKAからプレヒート不要で評価が高かったSOTOのガソリンストーブです。
1年半ほど前に購入し、冬季をメインに使ってきましたが、従来のガソリンストーブとは一線を画する使いやすさと完成度の高さです。
今回はストームブレイカーの魅力、使い方、MUKAとの比較を紹介していきます。
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SOTO(ソト) ストームブレイカー
2011年にSOTOが初めて発売したのがレギュラーガソリンを燃料とするMUKAストーブです。
従来のガソリンストーブはプレヒート(余熱)が必要で、そのときに炎上し、ススがつく不便さがありました。SOTOのスマートポンプでは、燃料をプレヒート不要で着火でき、レギュラーガソリンの不純物がホース内にたまりにくくするという画期的な作りで特許取得済みです。
燃料を霧化(むか)させてプレヒート無用にするとこからついた名前がMUKAストーブのようです。
そして2018年に後続として発売したのがストームブレイカーです。
2017年から発売するぞするぞと言われてて気づけば1年以上たち、2018年の残雪期に発売、冬に使いたいガソリンストーブなのにもう冬山後半戦、そんな季節外れのおっちょこちょいなバーナーな印象です。
MUKAは約100個の炎口がありましたが、ストームブレイカーでは約300個の炎口と約3倍。そしてウィンドマスターなどと同じすり鉢型のバーナーヘッドは爆風でも消えることがない耐風性です。
また同じホースのままOD缶で使うこともでき、液出し(缶逆さま)することもできるハイブリッドなガソリンストーブなのです。それ故にテスト段階では「マルチMUKA」という名前だったとか。
性能
展開サイズ (幅×奥行×高さ) |
150x130x90mm |
収納サイズ (幅×奥行×高さ) |
65x65x90mm |
ゴトク内径 | Φ75mm |
ゴトク外径 | Φ170mm |
発熱量 |
3.5kW(3000kcal/h)
|
総重量 | 448g |
バーナー重量 | 225g |
ポンプ重量 | 170g |
ガスバルブ重量 | 53g |
フューエルボトル | |
400ml (容量280ml) |
125g (約52分燃焼) |
700ml (容量480ml) |
146g (約90分燃焼) |
1000ml (容量720ml) |
178g (約135分燃焼) |
パワーガス250 SOD-725T |
約385g (約48分燃焼) |
総重量はガソリン用ポンプとOD缶用バルブ両方合わせたモノ。
実際に使う場合にはフューエル(燃料)ボトルかOD缶が必要で、ガソリンの場合は燃料分さらに重くなります。
例えば実際に使う場合に700mlボトルに480mlガソリンを満タンにした場合は
146g(700mlボトル)+480g(ガソリン480ml)+225g(バーナー)+170g(ポンプ)=1021gが実用重量となります。驚くほど重たい。
ガソリンは自分で使う量だけ入れることが可能なのでそこで多少軽量化は可能です。
OD缶使用ならさらに軽くなりますが、それならウィンドマスターとか軽量バーナー使えばいいので軽量性を求める人が使うバーナーではないのは確実です。
ガソリンストーブ
ガソリンストーブの特徴は
・ガソリンor灯油が燃料
・極寒下でも安定した火力
・プレヒート+ポンピングが必要です。
MUKAストーブ同様にストームブレイカーもガソリンストーブに属するバーナーで、ガソリンを燃料とするバーナーです。灯油は使えません。
車に使われるレギュラーガソリン(赤ガス)と不純物の少ないホワイトガソリン(白ガス)を燃料に使うことができます。値段はレギュラーガソリンのほうがはるかに安く、1/5程度の金額。
レギュラーガソリンの不純物によるつまりが少ないスマートポンプなので強いこだわりがなければレギュラーガソリンがいいでしょう。
レギュラーガソリンはガソリンスタンドで給油することができます。セルフのスタンドでも基本的に給油可能ですが、たまに対応していないと書いてあるとこもあります。
また自分での給油は禁止で、スタンドスタッフにお願いし給油してもらいます。
給油してもらうには専用のガソリン携行缶が必要となります。フューエルボトルへの直接給油は不可で、SOTOは別に750ml携行缶も販売しています。もちろん、携行缶さえあれば徒歩でもバイクでも自転車でも給油可能です。
スタンドでスタッフに携行缶に給油してもらう→自分でフューエルボトルに詰め替え、という手順が必要になります。
使うときに使う量だけフューエルボトルに入れていけるので便利ではあります。ガスよりはアルコールに近い使用感。
燃料の中で最も手に入れやすく灯油に次いで安価という点でもガソリンストーブは長期旅でも重宝します。
ただガソリンは40度で気化し、静電気や小さい火でも爆発的に燃えてしまいます。非常に危険なことは理解して詰め替えの際は細心の注意を払って行いましょう。
プレヒートとポンピング
ガソリンストーブの醍醐味と言えるのがプレヒート(余熱)作業とポンピング作業です。
ガソリン燃料は常温では気化しないため、アルコールやガソリンに引火させて一度炎上させることでジェネレーター(配管)の温度を上昇させ、バーナーを着火させる儀式がプレヒートです。プレヒート時に不完全燃焼でススがバーナーにつくのがデメリットでもありますし、そもそも危険で室内やテント内でできる作業ではありません。初めて見る人には火事にしか見えません。
そしてフューエルボトル内を加圧し、空気で燃料を押し出すために必要なのがポンピングです。
これもケロシンランタンやガソリンストーブでは必須な作業で、ポンプをピストンさせることで加圧していきます。
MUKAやストームブレイカーのスマートポンプはガソリンと空気をミックスさせることで、プレヒート不要を売りにしたバーナーです。
ただ写真が着火時点ですが、火力が安定するまで40秒ほどは小炎上します。実質的にこれがプレヒート作業に相当しています。
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使い方
準備
ボトル、ポンプ、バーナー、はすでにつながった状態。そして右下がOD缶用バルブ。
スマートポンプ。
ポンピング機構とガソリンを吸い出す長いホースと空気を吸い出すために上向きの短いホースがスマートな理由。
銀のスタンドが下に来るようにしないといけない理由がこれを見ると一目瞭然です。
これがポンピング(加圧)。
中に空気を取り込むので、ボトルに対して燃料が少ないとポンピング量が多くなります。それでも大体数十回というところです。
ポンピングするとポンプのインジケーターがだんだんと飛び出してきて赤いラインが見えたらポンピングOK。わかりやすくてすごい使い勝手いいです。
頑張ってやり過ぎると着火時に火が大きく出過ぎるのでやりすぎ注意です。
ポンプとバーナーの接続部分。
手で動かさないと差し込み、差し抜きできないようになっていて安全性が高いです。
バーナー側のホースの先端、真鍮製のノズル。
細く折れそうで怖いですが、保護用のキャップもついてます。
着火や火力調整をするコントロールダイヤルは押し込むことでロック、引き上げることで使用可能になります。
不意に回転しても引き上げなければ問題ないのでこれも安全面を考えてのところです。
文字も見やすく、グローブでの操作もしやすいのがさすがです。
停止位置のみ平になっています。
時計回りに回して使うため誤操作しにくいのが考えられてるなと思えるポイント。
着火
使う時は
ストップの状態で引き上げる
→スタートにすると燃料が出てくるのでライターで着火
→40秒ほどで赤い火から青い火になってくる(実質プレヒート)のでランにする
→圧力が落ちてるので再度ポンピング→火力調整して使う
→エアーにすると消火し、ボトル内の圧力も抜ける
→抜けきったらストップにした押し込む
という手順。
着火して、炎上して、ランに変えるとこまで。
着火してから落ち着くまでは最大50cmほど火が上がります。
下に火が出ないので上だけ気を付ければ大丈夫。
ガスに比べれば炎上ですが、MSRのガソリンストーブに比べれば「全然燃えないね!」という炎上レベルです。
ラン(Run)ダイヤルで火力調整ができます。
ダイヤルと火力にはかなりライムラグがあり、ある程度予想して調整する必要があります。また加圧具合で火力は変わってきます。
室内ならそれなりのとろ火もできますが、屋外では火が見えない、風があるで超強火~強火程度で想定するべきです。
炊飯や煮込みをしたいならダイヤルでの火力調整よりも距離を離して、火力調整するのがベストです。
基本的に火力調整能力はかなり低いです。強火か消えるか、みたいな。
SOTOあるあるですが、耐風性のあるすり鉢型バーナーヘッドゆえ直噴型。
中心が重点的に温まることになります。
お湯ならいいですが、炒めなどではバーナーパッドや工夫が必要です。
OD缶液出し
ノズルの変更なしでOD缶を使えるのもストームブレイカーの特徴です。
しかもガス缶を逆さまにして接続することができ、液体のまま無理やりガスを出して、気化しにくい低温下でも安定した火力を出すことができます。これを液出しといいます。
逆さまに3点で自立するスタンドにノズル差し込み口がついています。
液出しは低温下でも火力を出せますが、弱火がしにくくなります。そして正常位で使う以上に高火力になります。
ぼくはガソリンを使うためのストームブレイカーでOD缶使うことはまずないんですけどね。
OD缶の種類や比較は別記事
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ガソリンのコスパ
価格 | 使用時間 | 1時間あたり | |
レギュラー ガソリン |
1L100円時 480ml 48円 |
約96分 | 約30円 |
OD缶 | 250缶 630円 | 約48分 | 約780円 |
ガソリンは燃料費の安さも魅力です。
ストームブレイカーを1時間使うことを想定すると、レギュラーガソリンはOD缶の約26分の1の価格しかかかりません。
1L100円なら1時間30円、150円でも1時間45円という破格の安さ!CB缶と比べても遥かに安く済みます。
それでいて極寒でも、爆風でも使えるわけです。数字にすると改めてすごい魅力的です。
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使ってみてのポイント
実際使ってみて。
ポンプつけっぱ
購入前は考えてもいませんでしたが、実際に使うシーンではボトルとスマートポンプは接続したままパッキングして、現地でバーナーをつなげて着火するだけで使えます。
事前にポンピングしておくこともできるので、つなげて着火するだけです。ガスと大差ない速度で使いだせます。
説明書にあった注意点としては、1週間以上使用しない場合はスマートポンプをフューエルボトルから取り出して保管するようにとのことです。
載せるクッカー
左からスノーピークチタンシングル450ml、モンベル16cmフライパン、エバニュー17cm鍋です。
3本あるゴトク内径が約75mmです。
Φ86mmの450mlカップはギリギリ載りますが、絶妙なバランスで実用的ではありません。また高火力で直噴型なので小さい鍋では熱ログがあったり、取っ手まで熱くなってしまいます。
使うなら直径15cm以上は欲しいところです。
ソロで使うクッカーだと小さすぎるという印象で、多人数パーティ向けです。
スタッキング
純正のソフトポーチもありますが、衝撃を与えないようにハードなモノに包みたいわけです。
スノーピークチタンシングル450mlとトークス80mm蓋の組み合わせがベストです。若干フタが浮きますが、蓋を逆さまにすれば浮かず、ポーチで包めば問題なしです。
隙間にライターやカトラリーを入れることもできます。
ちなみにストームブレイカーのバーナー収納時とフューエルボトルの径はほぼ同じで、450mlカップにボトルを入れるのもアリです。
エバニュー570Tiではさらにはみ出してしまい微妙。
フライパンや大鍋ならパッキングの自由度が上がるのでイージーです。
ヒートエクスチェンジャーとの相性がいい
ジェットボイルのクッカー部分ですが、爆速で沸きます。
もちろんコジーは溶けるので外す必要があります。
ストームブレイカーは直噴型で高火力なのでヒートエクスチェンジャー(熱変換機)との相性が抜群に良いです。
ファイアメイプルやダグが出している鍋で、底に蛇腹の金属が付いていて熱を吸収し、伝導することで効率的に沸騰させるジェットボイルと同じ仕組みです。
耐風性
嵐の中でも使えそうなカッコイイ名前の通り爆風でも火が消えることはほとんどありません。
しかし火が消えないのと風防がいらないのは別の話。
風が強いと火が大きく流されてしまい、熱のロスが大きく全然沸騰しなくなります。
風上にザックや体を置いて守るだけでも十分ですが、強風時なら風防はあったほうがいいです。
MUKAには付属していたアルミ風防がストームブレイカーでつかなくなったのは不満点です。
燃焼音
ガソリンストーブと言えば爆音です。MSRのドラゴンフライは朝晩は使えない近所迷惑なレベル。
それに比べるとはるかにストームブレイカーは静かです。ただガスに比べるとうるさいなあと言う感じ。
それでもストームブレイカーの音がうるさいなと思うことはほとんどありません。
遠赤ヒーターと相性がいい
燃料費が安いメリットは気軽に長時間使いやすいことです。
すると冬にはバーナーだけでなく、暖房として使えます。
遠赤ヒーターを乗せるとテント内、タープ内、足元を温めることができ重宝します。
そのまま上に鍋やケトルを乗せて加熱することも可能です。
テント内の暖房に最適
つまりはテント内の暖房に最適なわけで、灯油ストーブを使うまででも無いけど暖房は欲しいワカサギ釣りにベストマッチでした。
たまに炎上する
プレヒート不要で使い勝手のいいストームブレイカーですが、2パターンで不完全燃焼を起こし炎上します。
・スタート→ランの切り替えが早すぎるとき
・バーナー下部が雪などで埋もれているとき
この2つシーンでは、ランにしたタイミングで火が消えると同時に燃料が噴き出して地面に流れ、着火すると炎上してしまいます。
今まで何度かありましたが、冬の低温時に起こりやすく、ジェネレーターの加熱が十分でないのが大きな原因だと思われます。
不完全燃焼なので大量にススが発生し、鍋もバーナーも真っ黒になります。
これがテント内などで起こるとテントが燃えますし非常に危険です。使用時はしっかりと加熱してからランに切り替えること、危険な場所では使わないようにしましょう。
MUKAストーブと比較
SOD-372 ストーム ブレイカー |
SOD-371 MUKA ストーブ |
|
価格 | 約21000円 | 約17000円 |
展開サイズ 幅×奥行×高さ |
150x130x90mm | 135x135x80mm |
収納サイズ 幅×奥行×高さ |
65x65x90mm | 80x65x80mm |
発熱量 | 3.5kW(3000kcal/h) |
4.7kW(4000kcal/h)
|
実用重量 | 395g | 333g |
総重量 | 448g | 333g |
バーナー | 225g | 163g |
ポンプ | 170g | 170g |
ガスバルブ | 53g | × |
特徴 | ・OD缶使用可 ・耐風性高い ・メンテナンス がしやすい ・すり鉢 バーナーヘッド ・炎口300個 |
・高火力 ・軽量 ・やや安価 ・風防付属 ・山形 バーナーヘッド ・炎口100個 |
ストームブレイカーが登場しましたが、数値で見ると旧モデルのMUKAのほうが安く・高火力・軽量という事実があります。
MUKAの欠点は軽量性重視のためゴトクが貧弱で重い鍋に耐えられないこと、山型のバーナーヘッドは耐風性が低いこと、Oリングからの燃料漏れ報告があることです。
ストームブレイカーの利点は耐風性の高さ・OD缶も使えるハイブリッドであることです。
しかし耐風性が高くても強風下でそのまま使えるわけでもないので風防をつかうことになります。そうなるとストームブレイカーの優位性は落ちてきます。
OD缶で分離式バーナーとしても使えますが、ストームブレイカーでOD缶を使うなら、別にOD缶バーナーを持てばいいという話になってしまいます。
分離式OD缶のフュージョントレックも発売しましたし、一体型ならより軽量なアミカスやウィンドマスターがあります。
利点が消えていくストームブレイカーですが、数値にでないメンテナンス性が向上している点。パーツも充実しています→ストームブレイカー 交換用部品 | SOTO | OutDoor Gear
やや複雑な構造だったMUKAストーブに比べ、ストームブレイカーはメンテナンス箇所が大幅に減っています。また接続部のパーツの強度があがり、燃料漏れがしにくく、耐久力が上がっているようです。
ストームブレイカーがオススメな人
・極寒キャンパー
・初めてのガソリンストーブ
・バイクツーリング
・グループ冬山登山をする人
・OD缶液出しで使いたい人
・1台で多用途に幅広く使い分けたい人
・重さは気にしないハイスペックが好きな人
山よりはキャンパー向きな道具だと思います。そして多人数向け。
特に寒い時期のキャンプや数人で大鍋を使う場合は重宝します。
プレヒート不要で使いやすく、初めてのガソリンストーブとしてもオススメなストームブレイカーです。
ジェネレーターユニット修理
バーナーヘッドの上にあるジェネレーターユニットが破裂してしまいました。
MUKAでも破損報告があり、交換パーツも別売りされています。
自分でも交換せずに修理に出した話を書いてます。
まとめ
初期投資は高額ですが、長く使っていけるであろう道具です。
なにより中華製品では得られない完成度の高さと抜群のカッコよさは所有欲を満たしてくれる道具です。
そして氷点下でも安定した高火力は重さには替えられない暖かさを与えてくれます。
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